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    @BanriSuzu
    BMB用隔離アカウント。成人腐。ドギー総受。(世界線は全部別)
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    odgr

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    エドオンリー展示作品です。全年齢健全です。
    テントオブ(略)…ではなくキャンプに来た夜の山で旅の話をするウィリアムズ親子の話です。

    ##ウィリアムズ親子
    ###ウィリアムズ親子

    旅する日 夜の山の闇に、爆ぜた薪の火の粉が赤く瞬いた。
     焚き火で炙ったマシュマロを湯気の立つココアのカップに落とし、エドワードはアウトドアチェアの上で毛布にくるまった子供へとカップの持ち手を向けて差し出した。
    「気を付けてな。熱いから、ゆっくり飲むんだぞ」
    「ありがとう、いただきます」
     毛布から伸びた手がカップを受け取り、ふうふうと甘い香りの湯気を吹く。吹いても吹いても立ち上る湯気の中、我慢しきれずにカップに口をつけた子供の翠の瞳が、みるみるうちに見開かれた。
    「いつもと違う味がする……!」
    「水も火も違うからな。美味いか?」
    「うん!」
     目を輝かせたルークが、温かなカップを大切なもののようにぎゅっと両手で包んだ。しんと冷え込む空気でかじかんだ頬が徐々に緩み、唇についたマシュマロの泡まで美味しそうに舐めとる息子に、エドワードの口元が和らぐ。
    「お前のそんな顔を見たら、連れてきて良かったなって改めて思ったよ。夏って言ってたのに、寒い時期になっちまってすまなかったな」
    「ううん。父さんと一緒にキャンプに行けるかもって話だけで、僕はすっごく嬉しかったんだ。忙しかったのに、本当に来られるなんて……ありがとう、父さん」
     ルークは本当に嬉しそうな表情で、夜空を見上げた。青い闇には焚き火に淡く照らされた森の木々の枝が黒く細い輪郭を描いていたが、開けた空には無数の星が輝いている。ダイヤモンドを粉々に砕いて散りばめたようなこんな秋の終わりの星空を、エリントンの街中では一度も見たことがない。
    「こんなに星がいっぱいの空も、初めて見たし……それに今日、父さんに色んなことを教えてもらったのも楽しかった。食べられる実の見分け方とか、火のおこし方とか、星座の見つけ方とか。国によって、星座の見え方が違うとか……父さん、本当に色んなことを知ってるよね」
    「お、ためになったか? 独り身でもう少し若かった頃はな、外国も旅してたんだ。捜査にも、その時の経験が生きているかも知れないな」
    「初めて聞いた。外国の旅行とか、全然想像つかないや。楽しかった?」
    「ああ。色んなことがあったよ」
     火から下ろして少し冷ましてあった湯を、エドワードはコーヒードリッパーに注いだ。紙のフィルターから、蒸された粉が夜の森の澄んだ空気に香ばしく漂う。
    「この国と同じで、世界にはいいやつばかりじゃないからな。ちょっとばかりおっかない目にも遭ったりした。だが、そのおかげで今の俺がいるとも言えるな。そういう奴らがどうしてそういうことをするのか、考えるきっかけになった」
     エドワードはチタン製のケトルを手にすると、湯がカップに落ちきったドリッパーの粉に再び傾けた。ルークがココアを飲む手も止め、辛そうな顔で沈黙したままなのに気づいて、エドワードは不安を吹き飛ばすように笑ってみせる。
    「おいおい、心配すんなって。無事だから、俺は今ここにいるんだ」
    「そうだね……そうだよね」
     ルークはようやくほっとした顔で、ココアに口をつけた。温かな甘さが緊張を溶かしたのを見届けてから、エドワードは淹れたてのコーヒーのカップを手に取った。
    「刑事になってからは旅行なんてほとんど出来なくなったが、ルーク、今はお前がいるからな。お前にも、色んな風景を見せてやりたいって思うよ。好奇心旺盛なお前なら、きっとさっきみたいに目を輝かせて、たくさんのことを感じるんだろうな。感想を言うのも上手いから、思ったことを俺に教えてくれよ」
    「その時は、父さんと一緒に見たい。今日みたいに、色んな景色をまた一緒に見たいよ。……父さんは忙しいから、無理は言えないけど……」
    「お前とふたりでヒーローになる頃には、悪いやつをたくさん捕まえて、刑事の仕事も少しは落ち着いてるかもな。それまでは、暇が出来たらまたこうやってキャンプに来よう」
    「ほんと!」
    「もちろんだとも。そのうちお前が大きくなったら、ふたりで外国にでも行ってみような」
     熱いコーヒーを口にして、エドワードは人心地付いたようなため息を漏らした。夜より黒の濃いカップの湯気をゆっくりと吹いて散らし、また一口含む。舌が麻痺しそうなほどの温かさを感じながら、エドワードは穏やかな晩秋の山を越えて海の向こうまで続く星空を見上げた。
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    odgr

    SPOILERWebオンリーイベント『キミとじゃなければ』開催おめでとうございます。
    メイン申し込みコンビじゃないんですが、オムニバスの他コンビで登録していたルーク&ジェイスン警部の話を掲載します。国家警察エントランスで迷子の面倒をみるルークと通りすがりの警部の話です。
    ルーク・エドワード・ジェイスンの国家警察組中心本『剣と翼とプレアデス』より書き下ろし分のWeb掲載となります。
    きっといつでも迷ってる 国家警察のエントランスは、いつでも相談を待つ人々でざわついている。真冬で暖房が効いているのも手伝い、混雑でより蒸し暑くなっている。
     この混雑こそが、国家警察が市井の人々に頼られ、信頼されている証だった。部下から混雑緩和の要望や改善案も上がってきていたが、そんなことは刑事部が時間を割くような話ではない、警務にでも任せておけばいいとデニス警視にも一蹴されていた。
     年齢も性別もさまざまな人だかりの中、ジェイスンはふと子どもの声を聞いた。対応するつもりはなかったが、聞きつけた反応を市民に見咎められていたら厄介だった。
    か細い泣き声の在処に視線を巡らせ、辿り着いたその先で眉を顰める。グレーのコートを羽織った若い警察官が、幼い少年の前に膝をついて笑顔を向けていた。
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    odgr

    SPOILERWebオンリーイベント『キミとじゃなければ』開催おめでとうございます。
    メイン申し込みコンビじゃないんですが、オムニバスの他コンビで登録していたルーク&ジェイスン警部の話を掲載します。
    国家警察に採用されてから刑事課に行き先が決まるまでのジェ警部の話ですがルークは不在です。
    ルーク・エドワード・ジェイスンの国家警察組中心本『剣と翼とプレアデス』より書き下ろし分のWeb掲載となります。
    どこにも行けない「ジェイスン警部、ちょっとよろしいですかね」
     大会議室に向かう途中、廊下で呼び止められた。振り向くと、ファイルを手にして立っていたのは警務部所属の警部だった。
    「会議がある。手短に済ませて欲しい」
    「ああ、はいはい。──異動の件なんですが。実は少し、厄介な新人がいましてね。刑事部志望らしいんですが、周囲から浮いた変わり者のようで」
    「ほう?」
    「論文と面接で熱弁したらしいんです。国家警察は、市井の人々を守るヒーローたるべきだ、と」
     ヒーロー。
     久しく聞かなかった単語に、ジェイスンは眉を寄せた。書類を見ていてジェイスンの反応には気づかなかったのか、警部が書類を指先で叩きながら鼻で笑う。
    「警察学校の成績はまあ、悪くはないんですがね。洞察力や分析力、推理力も十分なレベルです。まあ、キャリア組の中じゃそこまで光るわけでもないですが……」
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    odgr

    SPOILERチェズルク版ワンドロワンライ第38回提出作品です。お題は台詞お題の「逃がしませんよ」で。
    暮らドメバレ、チェとルで某スタイリッシュな軟体動物たちでインクを塗り合うシューティングアクションで遊ぶ話です。今回はチェズルクっていうかチェ+ルというか……チェはハイ〇ラントの面白さに気づいたら大変なことになると思う。
    「やばっ」
     現実でルークが発した声に、画面の中の小さな悲鳴が重なる。
     まっすぐに飛んできた弾丸に貫かれ、携帯ゲーム機に映っていたキャラクターが弾け飛び、明るいパープルのインクがステージに四散した。
    「フフフ……。逃がしませんよ、ボス」
     リビングのテレビの画面では、楽しそうに笑うチェズレイが操るキャラクターが大型の狙撃銃を構えている。スナイパー役のチェズレイが睨みを効かせている間に、テーマパークを模したステージがチェズレイのチームカラーにどんどん塗り替えられていく。スタート地点である自陣に戻され、ルークは焦りと感嘆とを長い溜息に変えて唸った。
     夕食後、ルークがリビングで一息ついていた時、そわそわとした様子のチェズレイにゲームに誘われた。一週間ほど前にルークがチェズレイの前でやってみせたゲームをルークの不在時に練習したので、一緒にやって欲しいという。海生軟体動物と人型を自由に切り替えられるキャラクターを駆使して広大なステージ中を駆け回り、カラフルなインクを射出する様々な種類の武器を用いて、ステージのフロアをチームカラーで侵食しあい陣取り合戦をするその対戦アクションゲームを気に入ったようで、仲間たちと同時プレイが出来るように携帯ゲーム機本体とソフトまで買ってきたという気合いの入れようだった。携帯ハードの方は既にルークの自宅のWi-Fiにも接続してあり、インターネットを介した同時プレイの準備も万端だった。
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    odgr

    SPOILER2014.4.14開催、ウィリアムズ親子オンリーイベント「My Shining Blue star」での無配ペーパーでした。雨で外に出られない休みの日、父さんの身の上話したり『父さんの父さん』の話をしたりする親子の話です。実際こういうシーンがあったら、父さんは『ヒーローを目指すきっかけになった人』みたいな感じで己の父親像を語ってくれそうな気もしつつ。市民を守って殉職した警官だった、みたいな…………
    水底の日 雨樋からひっきりなしに流れ落ちる水が、排水溝に飲み込まれていく。
     あまりにも量が多すぎて溢れそうになっているのか、空気を含んだ水が排水管の上で波を立て、とぷとぷという音がしている。まるでプールに潜っている時に聞くような音に、ルークが唇を尖らせた。
    「午後だけど、全然止まないね……」
     カーテンを開けて確かめるまでもない土砂降りの音に、ルークは八つ当たりのようにソファのクッションに背中から重さを預ける。雷こそ鳴っていないが、春の空は昼前ごろからずっと厚い雨雲に覆われていて暗い。それがまた、憂鬱に拍車をかける。
    「久々の父さんの休みだったのに」
    「まあな。だが、外に行けなかったのは残念だが、こんな風に家でのんびり過ごすのもいいもんだぞ」
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