「嫌〜い、嫌〜い、お前なんて大嫌〜い♪」
せっかくの休日だからと、自宅のソファで本を読みながらくつろいでいたら、窓からやってきた大男、もとい五条悟、もとい恋人が先ほどから機嫌よく不穏ワードをぶつけてくる。
今日が何の日かは把握していたので「大事になりそうな、わけわからん嘘はつくなよ」と開口一番に伝えたらこのザマである。
嫌いが嘘だから逆に好きという意味。だとは分かるが、学生でもあるまいに、こうしつこく繰り返されると多少苛立ってもくるものだ。
「ずっと嫌い〜♪」
「俺は好きだよ」
「え」
「だーい好きだよ、悟」
手元の文字列から目を離さないまま、甘ったるい声で告げれば、ソファの周りをウロチョロしていた悟に本を取り上げられる。そしてそのまま膝に乗り上げられた。先ほどまでの上機嫌はどこへやら、口をへの字にして、目隠しのままだって分かるほど不満げな顔をしている。
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