YOURS送られる視線。
指先についたクリームの餌針に、君はまんまとおびき寄せられて。
薄い唇が、柔らかな舌先が、指の間を滑る。
それは官能的な何かではなく、もっと即物的な食への欲求……なのだろうけど。
口づけよりも濃密なのに、どこか掛け違ったようなくすぐったさ。うっかり速ってしまう鼓動を必死に隠す。
「誰のモノ?」
そう尋ねる君の淡々とした表情は解読不能すぎて。
「……君のモノだよ」
甘い空気に反比例、自分の愚鈍さに苦笑い。
全部、君のモノだよ。
目の前のデザートも、君の目の前にいる誰かさんのどうしようもない欲求も、すべては君の望むまま。
全部、君次第だよ。
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