ミラーリング #15-5「目覚めたアルスター軍」 ゆらゆらとたゆたう感覚に、クー・フーリンはぼんやりと目を開けた。
目の前で、透明な黄金の光が遊ぶように揺れている。
ひんやりと全身を包む冷たさに身じろぎしたとき、クー・フーリンは後ろから誰かに支えられていることに気づいた。
「……クー?」
ささやき声に、クー・フーリンは息を飲んだ。
妙に重い身体をなんとか動かし、振り返ろうともがく。光を紡いだような髪が、鼻先をかすめる。
「エメル?」
喉から絞り出した声は、ひどくかすれていた。
「よかった、気がついたのね」
エメルは微笑んだが、その両目には涙が浮かんでいた。
唇を噛み、嗚咽をこらえる妻の顔を、クー・フーリンは声もなく見上げていた。
「エメル……なんで……?」
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