端田へニュースを見ました。今更かもしれないけど連絡させてください。
あの時、何も言わずにどこかに行ってしまいすみません。どうしても遠くに行かなきゃいけなくなって、連絡したら位置がバレると思ってできなかった。
今は、俺の番は過ぎたからもう大丈夫になって、家に帰ってる。
たぶんすごく迷惑かけた、家族にも、お前にも。
さっき端田の家行ってみたら誰もでてこないからずっと待ってたら近所の人が「息子さんが今も見つかってなくて、ご両親が今日も必死に探している」って聞いた。
調べたら あんなニュースになってるとは思わなかった。大悪党の立てこもりなんて信じられねぇよ お前も失踪扱いだし なにもわからなくなってきた
俺がお前にメールを送っているのは、「きっと生きてる」と思っているからだ。そんな脆い奴じゃないだろうし、事件には巻き込まれたが死ぬほど不運なやつでもないだろ?
俺のことは気にするな、もう心配はいらない。
いまどこにいるんだ 心配しています
木原玲央
木原くんへ
連絡ありがとう。僕は生きてるよ
だけど大丈夫、僕のことは忘れて。
端田要
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「おい…端田あいつ生きてるって…」
思わず声を出した。数日前に送ったメールに返信が来たのだ。
しかし2文目をみて困惑する。
大丈夫?なにが? たしかに俺とお前で互いに心配をさせた、けどお前は大丈夫なはずがないだろ。俺のせいで、本当に、申し訳ない
木原は暗い部屋の中でうずくまる。このメールのことは誰にも言うことはないだろう。
僕はまたスマホの電源を消す。なにか着信が来ていたらのために時々見ているが、もう消したままでもいいかもしれない。
「今日はね、僕のとっておき」
「俺も手伝ったからな」
僕は笑顔で返し、鼻歌を響かせながら料理を運ぶ。
さよなら木原くん。君への後悔を拭い去るほどの存在ができたから、もう大丈夫。
荷物です。端田は逸脱しました。今は斬人と逃げながら一緒に生きています。
どこにいるかは俺にも分からないけど、2人ならきっと幸せです。