初めて彼の顔をまともに見た時、ビー玉のような目をした男だと思った。
「僕は、あなたの家族に会ったことがあるんですよ」
拳銃を向けられそう言われてから、喫茶店に潜入する彼に囚われてしまった。
彼は黒の組織の一員。でも、なぜだか米花町にい続けて、小さな眼鏡の名探偵に存在することを許されている。
工藤君は彼の本当の正体を知っているのかもしれない。でも私は知らない。私は、彼のことは何も知らないのだ。
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「早く帰らねえと、仮面ヤイバー始まっちまうぜ!」
「そうですね!」
「二人とも、前気を付けてね!」
授業が終わった放課後、日の傾く米花町の通りを探偵団達が走り抜ける。私は彼らの後ろをゆっくりと歩いていた。歩み寄る影が身体を覆う。鋭い眼光が、私を射抜く……
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