アルカヴェ小説候補話 今日はたまたま隣になった､ティナリとセノとカーヴェの３人で酒を飲んでいた。話が､盛り上がった時には既にカーヴェは酔いつぶれていた。そこに､ティナリから連絡を受けたのか酔いつぶれたカーヴェのもとへアルハイゼンが迎えに来る。

「遅くなった」

ティナリがカーヴェを起こしてるところに､アルハイゼンが声をかける。ティナリは､アルハイゼンが来たのを確認してからカーヴェの体を揺らしながら起こす。

「あっほらカーヴェ､アルハイゼンが迎えに来たよ起きてごめん……､止めたんだけどいつの間にか隣のテーブルから何杯か奢ってもらってたからね」

それを聞いたアルハイゼンは､ため息をつきながらカーヴェに言う。

「はぁ……手間の掛かる……。帰るぞ」

カーヴェは､ふわふわした頭でアルハイゼンに気づく。潤んだ瞳､紅潮した､顔そして上目遣いで聞く。

「うぅ……あるはいぜん……？もう一杯……､もう一杯だけ､だめか？」

「駄目だ」

アルハイゼンは､間髪入れずにカーヴェの言葉を否定する。

「ケチ……。ケチハイゼン……」

「…………」

アルハイゼンはブツブツと言うカーヴェを無視し､無言でカーヴェを肩に担いで店を出て行く。

＊＊＊＊＊
外に出ると､涼しげな風が火照った体を冷ましていく。そして酔いが覚めてきたのか､カーヴェはアルハイゼンに文句を言う。

「おい､こんな運び方するな！僕は､先輩だぞ！もっと敬え！！」

カーヴェは､肩の上で顔だけを向けてアルハイゼンに言い放つ。しかし､そんなカーヴェの文句も効かないのかアルハイゼンは淡々とした言葉で返す。

「あいにく俺は､酔って醜態を晒すような者に､尊敬の念を抱かない。敬って貰いたいのなら､敬いたくなるような行動を心掛けることだな」

「……っ！……それなら､なんで迎えに来るだ？もしかして､金目当てか？」

「持っていないだろう」

「じゃあ､僕の才能？」

「俺には､必要ない」

「あーそうかい」

カーヴェは､だんだん切れそうになるのを我慢しなから言う。さらなる質問をアルハイゼンにしようとしたその時､一番ありえないだろことを質問投げかける。

「分かったぞ､アルハイゼン！君､僕のこと好きだろ！」

アルハイゼンは､ちらりとカーヴェの方を向いたが再び前を向いて答える。

「そうだ」

「……。は…………？」

アルハイゼンの意外な反応で､カーヴェは少し戸惑う。そんなカーヴェに気づいてないのか､アルハイゼンは続ける。

「分かったなら､少し静かにしてくれ。耳元で騒がらたら､煩くてかなわない」

高鳴る心臓の音を聞かれたくないのか､それとも赤くなった顔を見られたくないのかカーヴェは､思わずアルハイゼンの服をギュっと掴む。そしてカーヴェは､消え入りそうな声で呟く。

「〜〜〜〜……！君ってやつは……」

(そいうところが………､僕は………。僕は……)

「嫌いだ……」

(好き……)

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あれから1週間が過ぎた。
あれ以来アルハイゼンの態度は､何も変わったことろは無かった。同じ家に帰っても､話していても､スメール教令院の時と何も変わっていない。それが余計､あの告白は冗談だったんじゃないかと思うほどに……。
カーヴェは､なかなか寝付けなかった。ベッドの中で寝返りを打ちながら考える。

(今日も､アルハイゼンは何も変わらなかった……。いつも通りだった。もし､あれが本当だとしたら……､あいつは僕のことが好きなはずなのにどうして？）

カーヴェは､悶々と考え込みながら目を瞑るが一向に眠気が来ない。そこで､気分転換も兼ねて水でも飲もうと思い起き上がる。部屋を出る時にふと思った。

(あいつ､まだ起きてるかな……？ちょっと行ってみようか……）

カーヴェは音を立てないように扉を開ける。すると､リビングの方から灯りが漏れていることに気づいた。カーヴェは､恐る恐る近づく。
するとそこには､ソファーに座って本を片手に持ち読書をしているアルハイゼンの姿があった。アルハイゼンは近づいてくる気配に気付いたのか､顔を上げる。

「どうした？」

「あっいや……その……眠れなくてさ……」

アルハイゼンの問い掛けに､カーヴェは咄嵯に出た言葉を口に出す。

「……？そうか……」

そして､会話は途切れてしまう。沈黙が続く。アルハイゼンは､再び本を読み始める。そんなアルハイゼンを見たカーヴェは､意を決して話しかけた。

「あっ……、何読んでんの？」

「これか？これは、アリストテレスの動物運動論だ」

カーヴェはアルハイゼンの隣に座り､本のタイトルを覗き込む。そして､アルハイゼンの顔を見て言う。

「ふーん……。……っ！？お前､こんな難しいの読めるのかよ！！」

「まぁな」

カーヴェは､信じられないという顔でアルハイゼンを見る。一方アルハイゼンは､特に気にした様子もなくページを捲っていく。
そして､アルハイゼンは何かを思い出したかの様に話し始める。

「そういえば､カーヴェ。明日､暇か？」

「えっ……。まぁ、予定は無いけど……」

「なら､出掛けるぞ」

「へぇ～､珍しいな。どこに行くんだ？」

「それは着いてのお楽しみだ」

カーヴェは､興味津々に聞く。しかし､アルハイゼンの答えに期待していたカーヴェは､落胆する。

「ええええええ！！教えてくれてもいいじゃん！！」

そんなカーヴェを無視して､アルハイゼンは再び本に目を落とす。その態度にカーヴェはムカついたのかアルハイゼンに顔を近づけて言う。

「おいっ！無視すんなって！」

「うるさいぞ､近所迷惑だ」

「ぐっ……」

アルハイゼンの正論を言われて言い返せないでいると､「もういいだろう」と言い再び黙々と読み始めた。カーヴェは､仕方なく自室に戻る。そして
､ベットに入りながらも考える。

「うぅ……気になるな……､一体何処に連れてかれるんだよぉ……」

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翌朝。カーヴェは､目覚まし時計の音で起きた。時間は朝の7時半だ。カーヴェはまだ眠たいのか､何回か欠伸を繰り返す。そして､背伸びをしてようやく目が覚めてきた。