ある「元」光の戦士の6.02その7 フェオは階段の上からミーン工芸館を見下ろすのが好きだった。
クリスタリウムの発展を支えてきたミーン工芸館。時に困難に立ち向かうために頭をひねり、時に祝杯をあげてバカ騒ぎをした。
以前はその輪の中に水晶公もいた。
今はもう、彼はいない。
ただ彼が救いたいと願った人は、フェオの『かわいい若木』として今ここに生きている。
彼の決意が、意志が、希望が彼女の命となって燃え盛っているのだ。
彼が憧れた「英雄」とは違うかもしれないが、彼女はいま、工芸館の一員として新たなスタートを切ろうとしている。
彼なら、そんな彼女の背中でも押してくれただろう。
……結局寝坊して、出勤初日からカットリスに謝り倒す『元』英雄をどう思ったかはわからないが。
1297