サクラ舞フ。中編。創作審神者の女子大生視点。
*独自の設定があります。二次創作はファンタジー。
さすがに、恋愛に疎いやら鈍いというより気にしない様にしてる自分でもあれは気付くなぁーっと、妹ように可愛がり後輩でもある少女と大倶利伽羅の姿を見ながら思う。
審神者専用の商店街の万代屋で買い物の帰り道。知り合いを見つけて声をかけようとするも、私は口を閉じる。
慌てて両手で口を閉じる私に買い物付き合いに来てくれた加州が「どうしたの、主?」と声をかける。
「シッ!ちょっと、向こうに!」
あれ、あれ。と目線を送りながら一緒に物陰に隠れる。加州故か、私が鈍すぎるの故なのか感はいいようで「そういうことね」と納得。
「やっぱり、そうなの?」
「どっちかっていうと、大倶利伽羅の一方通行じゃないの?」
お互い小声でこそこそと話す。
商店街の一角、飲食店のテラス席。そこでは顔見知り見習い審神者(女子高生)と彼女のお付きの刀剣男士である大倶利伽羅と何やらお茶をしている。テラス席でお茶している大倶利伽羅。なんとも不思議な光景だ。
いや、私の大倶利伽羅に対しての偏見が混じってるのもあるのだが。
審神者と刀剣男士の話は良く聞くが、正直な所は付喪神様と小娘。ロリコンにもほどがあるだろう?とたまに思うが、それはそれ。これはこれ。お互い感情があるのだから仕方ない。とはわかっているが…。
「なに?鈍いふりしてる主が気になるの?」
「…痛い所突くわね。」
「あれ?自覚あったの?」
得意げに私をみる加州にしかめ面をむける。おっと、いまはそれじゃ無かった。
「それで、加州さんはどう思いますよ、あのふたり?」
そうそう。いまは目の前の事。
弊本丸にいる大倶利伽羅よりもアチラの大倶利伽羅の方が表情が少し豊かだ。そして、見習いちゃんをみる顔は、とんでもなく優しい。弊本丸の太鼓鐘と鶴丸が呆然としていた。弊本丸の大倶利伽羅はものすごいクールだ。ドライだ。たまに私をゴミを見るような目で見る。たまたま一緒にいた亀甲から興奮気味の含み笑いが聞こえるぐらいだ。
「二人いうより、一人でしょ?あの見習いちゃんはうちの主と一緒で、そういう事に疎そうでしょー?」
ちょいちょい私と比べないでくれ。
「まぁ、大倶利伽羅が無自覚に思ってるんじゃないの?」
「あぁ、やっぱり?」
「…俺ら、刀剣男士にとって主は守るべき対象。その気持ちの形、思いはそれぞれだけど、あれはどう見てもねぇ。ずっと気にはなってたけど。」
目の前で無邪気に笑う少女の目線は仲間や家族として。彼が少女に向ける目線はまた違う。
我が本丸に遊びにくる時、彼が付き添いの時に何度もその顔と目線は見ている。
「向こうの大倶利伽羅自身は『守るべく対象だから』。でも、気持ちにはそれ以上あると思うよ。」
「だーよーねー。」
「主、ロリコンとか思ってるでしょ?」
「イエ、マサカ。」
本音を言い合える立場っていいよね!たまに痛い時があるけどさ!
何か言いたげな加州の目線と言葉が痛いよ!
「…わからないほうが幸せかもね。」
「知らない方がいいことがあるからね。」
「鈍い主を持つと大変だよね!!」
「痛いです。あと、バレるから声のトーン下げて下さい、加州さん。」
そんなやりとりつゆ知らず。なんとも甘酸っぱく、微笑ましい二人をみる。
手振りを加えて話す少女を、弊本丸では見たこともない、穏やかな声で頷き聞く大倶利伽羅。
「青春よねぇー。」
「青春ねぇ?」
意味深な語尾の初期刀さまはムシだ。ムシ。
そう思っていたが、事は重大らしい。
「「あ」」
私と加州の声が重なる。
大倶利伽羅の背中にはらりと数枚の桜が舞う。お互い顔を見合わせて、またそちらを向く。少女も大倶利伽羅も気付てはいない。
これはさすがに「まじか。」と呟く。
「あれはマジだね。」
「ガチね。」
「……主さ、友達なんでしょ、あの子?しかも政府の預かりでしょ?大変な事になってない?」
焦りが交じる加州の声。
「………たぶん、向こうの本丸でも同じの事考えてるかもよ?」
「こういう時だけは、頭の回転早いよね。」
向こうの本丸の主が頭を抱えてる様子が浮かぶ。たぶん、伊達組と一緒に頭を抱えてるのだろう。
審神者、保護者の向こうの本丸の男性に同情してしまう。少女を通して伊達組と仲がいいので、何か言われているかもしれない。
「「無自覚、こわい」」
たぶん、両方に対して言ったんだも思う。
数日後に件の本丸の審神者さんから「相談事がある」と連絡が来た。
私は頭を抱えて、加州もなんとも言えない顔をして「俺らに気づいてない所を考えると重症かもね」と目線を遠くにして呟いた。