日々の感謝を。創作審神者あり。女子大生で顔がいい男が苦手(トラウマ)
あまりにも苦手なので、長船や顔がいい男士は顔合わせの時は紙袋を被って貰っている。そういうのが苦手な人は回れ右で。
初期刀は加州清光。初短刀は五虎退。近侍は亀甲貞宗。
御贔屓は新選組の刀達。とくに沖田組。ほかには村正と癖が強いがお気に入りな審神者さん。
春先、その本丸の主(女子大生審神者)は慣れた手つきで庭に植えてある植物の手入れをする。一般的にみる鮮やかな黄色の丸い綿毛の様な花と、同じ白い花。オレンジの花。初期刀でもある加州清光曰く、本丸一年目に主が買って植えたと。主はその花は穏やかな顔で毎年手入れしている。
そして花が咲くと、小さなブーケを作り各男士の部屋の出入り口に朝方そっと置かれている。だいたいが黄色の花、ある一部にはオレンジの花。古参や近侍を務める男子たちには白い花が置かれる。
その花の名前を教えてくれたのは、主の年下の友達で皆習いの審神者。
花の名前は「ミモザ」と言った。
花言葉を教えたのは、主がいつもお世話になってるみっちゃん(燭台切光忠)と日本号のために!!っと手に入れた福島光忠から。
「ミモザの花は『優雅』『友情』『秘密の恋』だけど、主の意味合いはイタリアの『感謝』だろうね。白い花は『頼られる人』と『死に勝る愛情』と言われてる。オレンジに『エレガンス』『上品』と言われているね」
最後の言葉に、オレンジの花の常連でもある蜂須賀虎徹、山姥切長義、歌仙兼定は複雑な顔をしていた。
「死に勝る愛情ねぇ?」
とくに調べる事をしなかった加州清光は福島の言葉を呟く。白い花は自分を含む、主が御贔屓にしてる新選組と一部の短刀、同じく近侍を交代で務める亀甲貞宗。
「頼られるのは嬉しいけど、死に勝はちょっとな。」
「確かに、ご主人様にしては随分と重い言葉だね。特に気にはこたえるんじゃないのかい?」
「知ったような、口を聞かないでくれない?」
「極めて乗り越えたんじゃないのかい?」
史実、天才剣士と呼ばれた沖田総司の愛刀の一振り。
刀にそれぞれの物語がある。
「それでも、俺らと主の「死」の距離は違うから。」
「主が先と思いながら、戦で僕らが折れるのが先かもしれないのもあるねぇ」
「ほんと、人を煽るの得意だよねきっこーはさ!」
「そんなつもりはないよ。ただ事実を言ったのみさ。」
ふふふっと上品に笑う亀甲。
「あんたが良くても、折れて泣いて怒って罵倒する主を俺は見るのは嫌だからね。審神者は普通の人と比べて危険はあるけど、この本丸は主にとって唯一の安らげる居場所なんだ。それは守って欲しい。主が苦しそうに痛々しく、泣きたくても泣けない姿を見るのは二度とごめんだからね」
半目で恨みを籠め、強い口調で加州は言う。
「…そうだね、時代を守るのも大切だけど、彼女の心を守るのも僕らの仕事だからね。余計な事で苦しむ姿は見たくないからね。」
今は笑顔を見ることが多くなった自分たちの主。
初めの頃は笑う事が少なく、常に冷めた目。顔のいい長身の男性を見ると「ひぃ」っと青白い顔をした。土方歳三の刀だから!っとトラウマの男性の面影が残る和泉守兼定になれようする努力は見るに堪えなくて、長曽祢虎徹が「無理はよくない」と止めたのはいい思い出だ。
過去に顔のいい幼馴染散々と人間関係色恋で大迷惑を掛けられてトラウマになったとか。審神者、本丸を就任と同時に実家との縁を切った。どちらにしろ時間差行軍が審神者の体の一部から鍛刀をして刀剣男士を生み出しかけたという報告があるので、彼女の亡骸は時の政府にとなるんだろう。
「あー、物騒な話はやめ、やめ。主を心配させちゃうからね。」
「ご主人様を困らせるのは嫌いじゃないけど、この手の事で困らせたくないね」
二人は主が困る書斎につき、一度深呼吸を。
「しっつれしまーす」
「失礼するよ」
声を掛けて襖を開ける。二人は書斎にいる先客に驚く。
五虎退、小夜左文字、薬研藤四郎、静型薙刀、大和守安定、今剣。いつのまにか出入りを許さるされた陸奥守吉行と、
「は?なんでじーさんがいんの?」
しれっとそこにいるのは一文字則宗がいる。
けれど、主の周りには短刀たちがずらりと囲んでいる。すでに極も住んでいるのでよほどがなければ手は出せないだろう。
「近侍の坊主はいいとして安定もいるんだ。それに主は新選組好きで沖田総司のファン。僕がいないのはおかしいだろ?」
お得意のセンスを広げてははっと笑う一文字則宗。
短刀に囲まれている主は「もう則宗さんは、ぬらりひょんかなんかと思うようにしてる。」と呆れ顔をしている。その言葉に返すように「付喪神が大妖怪とは。これはこれは!」と笑ってる。
「それはおいておいて、いいタイミングだな兄さんたち」
「ちょうど、出来上がったんですよ。」
薬研と五虎退。今剣が「ほら、ふたりとも早く早く」と加州清光と亀甲貞宗に傍に行き、二人の手を引き主の前に連れて行く。
「二人ともそこに座って」
主は自分の手を届く位置を指す。
二人が腰かけるを確認すると、背中に隠した二つの花束を出す。
「言い訳になるけど、初めの頃より人?が増えて、作る時間がなかなか取れなくて二人のが同じになっちゃったのはごめんね。これは二人に足してのいつものお礼。これからも不甲斐ないしふざけた審神者だけど宜しくね。」
花束は、メインの白が多めと黄色のミモザにかすみそう。差し色か、赤・ピンクのラナンキュラスがはいった花束だ。
ーーあとで福島さんに聞こう。
二人は心の中でつぶやいた。
「やはり、二人は豪華な花束だな。」
「ふふふ。ふたりは私のトラウマで色々迷惑かけてますので。これぐらいはしませんとね!」
「ほぉー、鬼退治の時に鬼丸国綱と「鬼はどこだー!コロス!!」と騒いでたいお嬢さんとは偉い違いだ。」
主と一文字則宗の言葉に、近侍の二人は噴き出して笑いだす。
「じーさん、それが俺らの主だよ」
「そうだね、それでこそ、僕らのご主人様だよ」
「主に、お淑やかとか似合わない。」
「あぁ、どうか、ご主人様は何かに囚われずことなく突き進んでほしい」
「ですってよ、則宗さん?」
長いセミロングの髪の内側を赤くインナーカラー染め、審神者がきる巫女装束の和服にレースの帯を絡めたり、シースルーの薄手の羽織をきたりと、洋装をすこし取り入れていたのしんでいる主。
ドヤっとにやりと笑うその顔。亀甲には見慣れた顔だが、初期刀の加州にするとずっと見たかった顔。ついににやけてしまう。
付き合いの長い刀たちは、みな頷く。
「うちの主様は、お転婆で素敵でかっこいいんだよ、覚えておいてよね、じーさん」
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かすみ草の花言葉は「感謝」「幸福」「無邪気」「親切」
「ラナンキュラス」の花言葉は「とても魅力的」「華やかな魅力」
赤色のラナンキュラスの花言葉
「あなたは魅力に満ちている」
ピンク色のラナンキュラスの花言葉
「飾らない美しさ」