カヲシン 好きだった
どう足掻いても、好きだった。
この気持ちを嘘だと思いたくなくて、唯々君だけを見つめる。
ありがとう。
ずっと好きだったよ
「碇シンジ」
僕は「はい」と返事をして立ち上がった。
「悟られないように。通信は夜中の二時、月に二回行う」
「分かりました」
「悟られるなよ」
僕は、白石に残る上司を見てもう一度言う。
「はい」
この世界は白石という国と青国、黒国の三つの国で構成されている。
陸の領土では白石が一番大きいが、海も含めると黒国が一番多い。
青国の陸の領土は二番目に大きい。そこだけを聞くと白石と黒国の接戦のように見せるが話は違う。
青国と白石の冷戦中だった。
黒国はその国民しか発音できない言葉であって、決して「こっこく」だとか「くろぐに」だとかは呼ばない。勝手に他国がそう呼んでいるだけだ。
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