いつまでも絶えることなく上向きにカールしたようなくせっけに背中まで伸びたおさげ。昔の彼女をそのまま成長させた後ろ姿に思わず声を掛けた
「ひーちゃん!…久子ちゃん!」
「えーっと、どちらさま?」
怪訝そうに振り返ったのは小さな黒目に猫みたいな口。やっぱりひーちゃんだ。
「覚えてないよね…小学校の頃よく遊んでもらった2つ下の」
「ごめんねー!あたし物覚えが悪くてさ」
「ううん、いいの」
覚えていない様子の彼女はあっけらかんとしている。少し落胆したのを隠しつつ笑顔で首を振る。
「あ」
ひーちゃんは私越しに誰かを見つけたようだ。
視線の先を辿るとぴょんぴょん跳ねる髪と定規で線を引いたような個性的な顔の男性。学ランを着てるから同級生かな。
「引き止めてごめんなさい。それじゃ」
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