にがよもぎ 雷が、
神鳴りが、鳴っている。
ゴロゴロと。稲光を一足先に落としながら。
見られているようだと思った。
その光に照らされると全てが露わになるようで、とても直視出来たものではない。
誰に?
神に。
そう。神様に見られている。
好きだなどと思ったことは無かった。
でも、隣にいる時間が長くなる程呼吸がしやすくなったのは事実で、だから、どんどん一緒にいる時間が増えた。
一緒にいれば情も湧く。
情が湧けばーーー。
どうなるのが正しかったのか。
今となってはきっともう正しさなんて一生わからないけど、本当は正しいままに踏みとどまりたかった。
天馬司はそう思った。
わかるのは、これが正しく無い、ということだけだった。
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