元々考えていた設定だといまいち話が膨らまないというか吸血鬼パロと近い流れになりつつあったので
前に出した内容から結構改変してきたけど、
なんだかんだ一周して要所要所で似通った感じ出てるからもう何らかの性癖なんだと思う。
逃避行萌えみたいな。
(初期にイメージしてたのは
天使が家庭のいざこざで人間界に転生させられた所を悪魔に惚れられたり、
別の悪魔に天界と地獄の戦争を引き起こす人質として狙われたりするような話だったけど、
天界にある軍事地区の生まれであまり自由に街から出られない環境で生きてきた天使が、
外を求めて転生したら偶然自分そっくりな人間に憑依してしまったって内容になったので、
つまり性格と口調がちょっと違うマクワ君が天使役と人間役で二人出てくる
※マクワ君の敬語口調に近いのは天使の方)
ここから何かちゃんとした形に出来るのかどうかは今のところ微妙なので、
あくまでパロ落描きを描く際の「こういう体で」みたいな、
なんか天使と悪魔がくっつくまでにこういう事があったらしいよ的な前置きくらいの扱いで。
悪魔が天使に惚れるまでの経緯は去年出した内容からほぼ変更ない感じ。
【あらすじ】
どこか遠い世界へ抜け出してみたくて転生した天使が、教会の司祭の子として生まれた人間に憑依する形で人間界に生まれ、それから15年、
天使は人間の少年として転生前の記憶を忘れたまま生きてきた。
ある時その少年は、少年の正体が人間では無いと言ってくる悪魔に遭遇し、
その後少年と同じ学生姿に化け、同じ寮で生活するようになった悪魔に日々恋のアプローチを受けるようになる。
その時期から少年は度々意識が途切れるようになり、
その間本来の体の持ち主である人間の魂が表に出ている事を、
人間とコンタクトを取ったらしき悪魔に明かされる。
天使は天界に帰る時期が近づいていた為に借り物である体と魂との結びつきが薄れ始め、
代わりに今まで眠っていたと思しき人間の魂が優位になり、
人間が表層に顕れる時間は日に日に増えていった。
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人間は生まれて5年ほどから持ち得ぬはずの自我を持って肉体の深層に囚われていた。
自分はここにいるのに表で誰か別の存在が自分として生き、言葉を紡ぎ、笑って、泣いて、暮らしている。
人間の魂は、暗い水の底のような世界でそれを遠巻きに眺めるように過ごしていた。
けれど時折、別人の魂が眠ってる時に表に出られる事があった。
その時間は別人の意識越しに見た日常の通りに振る舞わなくてはならないぎこちないものだったが、
それでも家族や友人に触れられるその僅かな時間に愛着を持っていた。
だからこそ自分の世界を奪っているようなこの別人を恨んだ。
それでもいつか神様が、この意味のわからない状況から救ってくれると思っていた。
だから別人の行動をなぞるように、されど自分の意思で、体を自由に動かせる時には
神に祈りを捧げた。
ある時悪魔が現れ、別人の正体を暴いた。
自分の魂を暗い世界に閉じ込めるあの存在は、信仰の対象でもある天使だった。
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悪魔は後悔はしたくなかった、人間に憑依していた天使にその正体を自覚させた事を。
天使が天界に帰る前に自分の事を記憶に残させるべく、本来の自我の目覚めを故意に早めさせた事を。
けれどそれにより起きてしまった問題については言い訳できなかった。
人の器を借りる形で転生した魂は、器を借りる者、器を持って生まれた本来の主人格、
普通ならそのどちらもが魂を分かつ瞬間まで気付かないままなのだという。
一つの体に2つの魂が同時に覚醒することで、器の持ち主である人間が天使の存在を知覚してしまう、
それが最大の問題なのだという。
人間の世には無い存在を人間に見せてはいけない、あの人間は自分の中の天使を知り、
ましてや悪魔である自分とは会話までしてしまった。
人ならざるものを知った人間は処分され存在を消されるのだという。
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悪魔は人間を連れて学生寮から逃げ出した、
そもそも人間は誰にも気付かれていなかっただけでとうの昔に自覚をしていた。
自分の体が自分の元へ帰ってくることをずっと渇望してきたのだ。
天使が天界に帰るまで後ほんの数日だというのに、この人間を消してしまうというのか。
悪魔は、器が天使の離れる前から自我に目覚めていることを天界に気付かせてしまった罪悪感に苛まれた。
天界と人間界の問題に干渉すれば自分も処罰されるかもしれなくとも。
とにかく後少しで普通の人間に戻れるであろう彼を今だけ世界から隠そうと、
自分だけに10年の孤独と願いを明かしてくれた彼の手を引いて、黄昏の道を走った。
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少年がただの人間に戻ってから数年、彼はとある病院内に建つ礼拝堂に所属する司祭になっていた。
数奇な運命を辿った青年は、天上の神の手に救えるのは魂まで、人の手を取れる神は人の中にあるを信念に
自宅である教会の運営と、命に直に寄り添う仕事との兼業をしている。
多忙な彼が友人と会うとすればもっぱら教会に訪問してきた相手を迎える形になっていたが、
時折青年の双子と見まごうばかりによく似た男と、明らかに地元民ではない風体の褐色の男という奇妙な二人組がやってきては
なにやら与太話をしながら酒を酌み交わす姿が見られた。
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そんなこんなで悪魔は人間とは秘密を共有する友人となり、
天使とは晴れて恋仲になりましたとさ、みたいなお話。
これ人間の方の事象中心で書いてるからシリアスな話ばっかりになってる感じだけど、
天使と悪魔がくっつくまでの話も同時進行だから、
天使のハートを射止めようと悪魔が奮闘するラブコメみたいなパートも多分あるんじゃないかと思う、多分。
で、悪魔が人間を守ろうと逃避行してる時に
「オレも罰を受けたらもうアイツには会えないかも……あーキスくらいしたかったなぁ」
ってぼやいてる悪魔の頬に人間がキスをして、
前に男性には興味がないと話していた筈の彼の行動に悪魔が驚いていると、
「悪かったね、顔が似てるだけの別人でさ」と人間が呟くので、
悪魔が苦笑し「司祭様の祝福だ、僥倖の極みだよ」と言えば、
「……司祭見習いだよ。 大体悪魔の世界に祝福の概念なんてあるの」と皮肉られ、
「それは偏見だぞオマエ。 オレ様は無宗教派なのでね、何にだって乗っかれるのさ」などと悪魔が言い出し
話のしょうもなさにどちらともなく笑った後、
悪魔がお互いにしか聞こえないくらいの小さな声で「……ありがとな」って言う
みたいなシーンがあったらいいなと思うよ(?)