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    めてぃ

    結界師正良の妄想をほぼ壁打ちでただ垂れ流すだけのアカウント。
    あとは自作正良ぬいで色々と写真取ってます。
    メモとあるのはほぼ小説かほんとにメモだけです。
    なにかあればTwitterかマシュマロまでどうぞ。

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    めてぃ

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    正良。
    正守がなんらかの力で体が子供になってしまう話。
    他に書いている話よりもサクサク進むんだけど、こっちを書いていると他のやつが進まないので、いったん書けたところまで。
    続きは書きたい気持ちはある。

    (しまった…)
    そう思った時には遅かった。その場で倒れ込まずに逃げ、なんとか敵を振り切ったところまではよかったものの気づくとしばらくの間気を失っていたようだった。
    「くそっ。早く連絡を取らねば」
    焦る気持ちで携帯を入れている胸元を探ろうとするものの、手に違和感を感じて目線を落とすと
    「えっ!?えぇぇぇぇぇ??」
    思わず声が出てしまった。そこにあったものは、子供の体に子供の手、そしてブカブカの着物。
    「マジか・・・」
    思わず空を仰ぎ見る。見える風景は変わらないのに、そこにいるのは幼稚園児くらいの体になってしまった正守だった。ただ、思考も記憶も変わらず残っている。変わってしまったのは体の大きさだけだった。
    そこは、頭領。冷静になると、すぐに刃鳥に連絡を入れた。
    「もしもし、体が小さくなってしまったんだが」
    『どちら様ですか?子供の声ですよね。これは頭領の携帯では?あなたは?どこかでこれを拾ったんですか?』
    矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
    「いや、だから俺だって」
    『俺というのは、夜行の頭領、墨村正守ということでいいですか?』
    「だから、そうだって。敵の攻撃をかわしきれなくて食らってしまって気づいたら子供の体になってたんだ」
    さすが夜行の副長。数々の非現実的と思われる経験を数多くこなしているだけあって、すんなりと状況を受け入れた。
    『で、どちらにいらっしゃるんですか』
    「例の現場付近なのは確かだから、なんとか蜈蚣を呼んでそっちに戻る。ただ俺がこの状況だというのは極力伏せたい」
    『かしこまりました。そうしましたら・・・』
    副長が夜行のメンバーに見つからないように夜行に戻る段取りをつけてくれている間に、蜈蚣を呼びよせると帰宅の途についた。
    呼び出した蜈蚣も初めは半信半疑だったものの、そばにあった着物、話す内容から正守と判断し、刃鳥の指示通りに秘かにかつ急いで夜行へと飛んで行った。

    夜行のとある一室。
    部屋には、正守、副長である刃鳥、医療班の菊水が揃っていた。
    「うーん、原因は分かりましたが、治療法がまだなんとも。さきほどいくつか試してはみましたが即効性のあるものはまだ見つかっていません。毒が消えれば元に戻るものなのか、そもそももう戻れないのか。もう少し調べてみる必要はありますね」
    「すまんが、引き続き頼む。あと刃鳥、俺はしばらく実家にいようと思う。ここにいたら子供達には怪しまれる。頭領がそんな状況だと分かれば誰かしらがなにかしてくるかもしれないしな。長期の仕事だということにしておいてくれるか。連絡はいつでもつくようにはしておく」
    「かしこまりました。ご実家にはすでに連絡を?」
    「あぁ。祖父と父には話した。良守と利守には秘密にしてもらうことにしたから、親戚の子というていでしばらく実家にいるつもりだ」
    「良守くんにも秘密にされるんですか?」
    「あいつに知れたら、相当心配するだろうしな。元に戻れるなら知らない方がいい。万が一どうしてもということがあればその時には話す」
    「承知いたしました。それではさっそく」
    「あとは頼んだ」
    正守は、再び蜈蚣に乗ると密やかに墨村家へと向かった。

    夏休み中の登校日から帰宅した良守があくびをしながら玄関の戸を開けると、珍しく父が出迎えてくれた。
    「おかえり良守」
    「ただいま」
    「ちょうどよかった。今日は良守に紹介したい子がいるんだ。ほらご挨拶して」
    父は後ろに隠れるようにしていた小さな子を前に出そうとするが、どうやら恥ずかしいようで父の足にしがみついている。
    「ほら。大丈夫だから。さっきお話しした良守だよ」
    突然の出来事にポカンとしていた良守だったが、父の後ろからちょこっと顔をのぞかせてすぐにまた隠れてしまった子供に興味が沸いてきた。
    「こんにちは。良守だよ。怖くないから出ておいで」
    これでも弟を持つ身だ。小さい子の扱いなら慣れている。目線を下げるためにしゃがんで声を掛けた良守に、父の後ろに隠れた子は再びひょこっと顔を出すと今度は体を半分だけのぞかせた。
    「お名前は?」
    「・・・・」
    「すみむらまさし君だよ」
    「墨村?」
    名乗らない子供の代わりに父が答えた名前に不思議に思って顔を見上げた。
    「そう。遠い親戚に当たる。のかな。だから墨村。しばらくの間うちで預かることになったから良守には面倒を見て欲しいんだ。ちょうど利守も林間学校に行ってしまったばかりだしお願いできるのが良守くらいしかいないんだ。夏休みだしいいだろ?」
    「へえ親戚かぁ。それなら、まさし君よろしくな」
    「まさ君って呼んで欲しい」
    「え?」
    あまりにも囁くような小さな声だったので、良守は思わず聞き返してしまった。
    「まさ君って呼んで」
    今度は少し大きめな声だったので聞こえた。
    「そうか、まさ君か。じゃ、よろしく」
    握手をすべく手を差し伸べると、先程照れていた割にはすんなりと手を出してきたので2人は固く握手をかわした。
    「じゃ、そういうわけで挨拶も済んだことだし、父さん買い物行ってくるから、おやつでも食べて留守番お願いするね」
    そう言いながら、良守とすれ違いで家を出ていった。元々買い物に行くタイミングだったのかもしれないところで、タイミングよく良守が帰ってきたからこの子を預けて行ったのかもしれない。父のことだからきっと今晩はごちそうになるのだろう。
    玄関に2人だけが残されてしまってお互い無言で見つめあってしまったが、気を取り直すとと良守はまさしを連れて茶の間に向かった。

    「ね、まさ君。いくつ?」
    「…」
    無言のまま手をパーにして出てきた。相変わらず照れ屋のようだ。
    「5歳ね」
    おやつに用意された煎餅をかじりながら、なんとか会話を試みようと話題を振るもののの、まだ見知らぬ家に連れてこられたせいか口数が少なく中々会話が繋がらない。一問一答で質問するも話題が尽きてきた。
    どうしたもんかと思い悩んでると逆に今度は質問が飛んできた。
    「お兄ちゃんは何歳?」
    「俺か?俺は14歳だよ。っていうか、そのお兄ちゃんっていうのやめない?なんか聞きなれなくてこそばゆいんだわ」
    「じゃあ、よしもり?」
    突然の呼び捨てに、良守は笑ってしまう。
    「いきなり呼び捨てはダメだ。良兄って呼んでくれよな」
    「良兄?」
    「そう。俺の上にも兄貴がいてな。正守だから正兄、で、俺は良守だから良兄ってわけ」
    「でも良守って呼んだらダメ?」
    唐突なお願いに良守は内心苦笑いする。先程まで借りてきた猫みたいに大人しかったのに急に主張が強くなった。
    「まあ、別にいいけど。せめて良守君とか良君とかにしねえ?」
    「…わかった。良兄にする」
    しばらく考えたあと不服そうにそう答えた。なにがそんなに不満なんだろうか。自分の呼ばれ方も希望を言ってくるくらいだから、もしかしたら名前に強いこだわりがあるのかもしれない。
    「んー、まあ好きに呼んでくれ。呼び方なんて別に気にしちゃいねえから。あと、このあと寝なきゃいけないんだけど1人で遊んでられるか?」
    「ううん」
    首を横に振った。それもそうだ。いきなり連れてこられた家で1人で遊べって言うのもかわいそうなもんだ。
    「じゃあ、一緒に昼寝するか?そんなんでいいのかわからんけど」
    「うん!」
    昼寝と聞いて少し声が弾んでいたように感じた。もしかしたら朝早く遠いとこからうちまで移動してきて疲れてるのかもしれないが言いづらかったのだろう。このくらいの年齢なら昼寝して当たり前だ。
    「よし。部屋行こうか。万年床だけど布団あるし」
    本当は夜のために1人でゆっくり寝たかったところではあるが、今のこの眠さなら隣に人がいても熟睡できる自信はあった。
    部屋に行って布団に転がり自分の横をポンポンと叩いてやると、その横に転がってきた。タオルケットを掛けてやると、すぐに寝息が聞こえてきた。思っていた以上に眠かったのかもしれない。そんな規則正しい寝息を聞きながら、良守も眠気に誘われてしばし夢の中に旅立っていった。

    しばらくして、良守は目を覚ました。あたりはだいぶ暗くなってはきたもののまだ夕方のようだ。隣で寝ていたはずのまさしはいなくなっていたので、起き出して茶の間にでも行ったのだろう。起き上がろうとして違和感を感じ、慌てて飛び起きる。
    「おわっ!お、お前!なにしてるんだよ!」
    「なんかムクっとしてたのツンツンしてたら動くから面白いなと思って」
    あろうことか、まさしが若干起き上がっている良守自身を指でつついているではないか。生理現象とはいえ、刺激を与えられたことでいつも以上に元気になっている。
    「お、大人はこうなるんだよ!」
    「そうなんだ、ふーん」
    無邪気に興味を示すまさしから距離を取りつつ、両手で隠す。いつもはここまではならない。定期的に自分でもしているが、そろそろ正守が帰ってくるだろうという予感もあり最近はあまりしていなかったのだ。自分でするより、正守にしてもらったほうが圧倒的に気持ちがいい。
    「ほら、起きたなら、そろそろ晩御飯になるから茶の間に行って。父さんも帰ってきてるだろうし」
    「それ、どうするの?」
    「それ?あ。ってか、お前に関係ねえから。大人を揶揄うんじゃない」
    「してあげようか?」
    「へ?してあげる?」
    まさしが発した言葉が咄嗟に理解できず頭の上にハテナを並べた。
    「いや、なんでもない」
    そう言うなり、まさしはすっと立ちあがると部屋から出て行った。
    その後ろ姿を見つめることしかできなかった良守は、我に返ると早く鎮まるようにと深呼吸を繰り返す。
    (クソッ、正守が早く帰ってきてればこんなことにならなかったのに。っていうかアイツなんなんだ?出会った時と全然違うじゃねえか。もしかして猫被ってるだけで飛んでもなくめんどくさい子なんじゃないだろうか…)
    とりあえず初日だしもう少し様子を見てから判断しようと、ひとまず収まった体で夕飯へ向かった。
    こうして、良守の奇妙な夏休みが始まった。

    つづく・・・
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