みい子が編んだものをみんなが協力して編み直したマフラー。それを吉田くんの首に巻き付けられているのを見かけたとき、ほんの少しばかり手伝ったことまで記憶が引き出されて、面映ゆさに声をかけるのも躊躇った。
それと踏みとどまったうちの一つに、彼の眼差しはちいさな歩幅で隣を歩むみい子に向けられていたからでもあったが。
みい子の手も加わっているそのマフラーのことをみい子に触れてほしかったのか、しきりに触っている吉田くんは可愛らしい。みい子がいくら鈍感でもさすがにしきりに触っていたら気がつくのか、マフラーについて指摘したらしく吉田くんの顔が明るくなる。
分かりやすいなあ、いま話かけたらじゃまになっちゃうよねと自分の首に巻き付けたマフラーを口許に引き上げてできるだけ歩道の端を歩こうとして、
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