戦う理由胸を貫かれ、真っ逆さまに落ちて行く。
修羅場には慣れすぎた身だが、これで終わるのか、と思った時だった。
彼奴が、私に、手を伸ばしたのは。
それから、彼奴は敵である私に手当だの、説教じみた言葉だのを寄越してきた。
「じゃぁ、お前はどうして覇王を目指すんだよ」
言われた瞬間、胸の中にある宝石が、砕け散るような気分がした。
それから、また。
機械の国の白い龍に同じことを聞かれた。
お前は、何のために戦うのか?と。
その時に、自分の中に、灯りが灯った気がした。
「借りを返したい。」
正義のためだ、なんて言わない。贖罪のためだ、なんていえない。
この灯をともした人間としての自分の半分が、戦え、と叫んでいる。
自分を駒として扱った、あの連中に一矢報いたい、と叫んでいる。
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