東京カラスパロ 広げた漆黒の羽根。
その持ち主は喜色満面でタケミチをぶら下げたまま呟いた。
「みつけた、タケミっち」
優しい、だけど泣きそうな笑みにタケミチは状況を忘れて固まってしまった。
夜の廃校舎。
長い包みを担いだジャージの少年と紙袋を被った奇怪な犬が、よくある肝試しなのかバリケードを躊躇いもなく越えて侵入した。
「赤いマントを着せましょうか?
ってやつか、花垣」
「しっイヌピー君、他に人がいたらどうするんですか」
ジャージの少年――花垣武道は紙袋犬のイヌピーを叱る。
しかし犬はお構いなしに先に進む。
「怪人赤マント。
トイレを使用中に『赤いマントを着せましょうか?青いマントを着せましょうか?』と問いかけてきて、赤を選べば血まみれに、青を選べば血を抜かれて死ぬっていう都市伝説。
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