まろやか 疲れた体を横たわらせ、寝入り、目を開けば、虎杖は宿儺の前に横たわっていた。
宿儺が腕を広げる。虎杖はその腕の中に凭れ、宿儺は身を寄せた虎杖の体を包んで引き寄せる。林檎の瞳が細くなって、宿儺の手が優しく虎杖の頭を撫でた。
「よし、よし……今日もようく励んだなあ」
呪霊との戦闘の他、授業が座学でも実技でも、真剣にこなせば褒めてくれた。以前は真剣ではなかったという訳では無い。けれど、報酬というものは人を調子よくさせるし、虎杖もその例に漏れないのだ。
暗く日差しの気配も何もないのに、虎杖の脳内報酬系はその手こそ光だと言わんばかりに幸福物質を垂れ流している。
顎に添えられた指がくいと顔を上向けて、ふたりの唇が重なる。
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