男優パロ⑥完 おまけ「太陽」その後、僕と悠仁のゲイビデオが発売された。
発売と共に口コミが口コミを呼び、ゲイビデオを見ないであろう層にまで売れ、瞬く間に大ヒットとなった。
「あの少年はだれ?!」「悟が優しい!」「めちゃくちゃ愛感じる」「この2人好きだよね?付き合ってるよね?」
そんな言葉がSNSでは飛び交っていた。
悠仁は、この作品を機にこの業界から引退をした。
悠仁をスカウトした事務所に辞める挨拶をしに行ったとき、「どうしても続けて欲しい」と懇願されたらしいが、僕が顔を出すとすぐに悠仁の辞任を快諾してくれた。
僕もこのままセクシー男優を続けるつもりもなく、冥冥社長に事務所を辞めると伝えたが、
「金の成る木をみすみす逃すわけがないだろう。方向転換して、これからも頑張ってもらうよ。」
と一掃された。
セクシー男優ではなく、俳優として芸能界を続けることとなった。
表の業界で活躍したことで人気も上がり、冥さんの機嫌を損ねずに済んだ。
僕と悠仁のゲイビを撮った監督は、「これ以上いいものは撮れない!」と、別作品を撮ることもなく、たんまり稼いだ印税で、海外へ移住し、優雅なセカンドライフを過ごしている。
悠仁は、初めて会った日からしばらくして、僕の家へ引っ越してきた。
悠仁は、僕の家でハウスキーパーとして働いてくれている。
働くといっても給与は、たまに使う用があるときにだけ支払うもの。
しっかり時給で払うといったが「生活を保障してもらってるだけで十分」と言われてしまった。
「それに、恋人なんだし。」
と屈託のない笑顔を向けられた。
これは、まるで夫婦のようだ。
毎日、僕の隣で目を覚まし「おはよう」と挨拶をしてくれて、食事を一緒にして。
仕事部行くときは、行ってきます、行ってらっしゃい。ただいま、おかえりと交わす相手がいる。
夜も一緒の食卓で、一日の話をして、同じ寝床に就く。たまにはお互いを求めて、お互いで満たされる。
こんな日常を迎えられることが、幸せだと知った。
悠仁は、僕の生活に意味を与えてくれた。
君は、僕の太陽だ。