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    nanndemo_monyo

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    昔書いた紅花√のリンレトが出てきたので供養。こんなんいつ書いてたんだろう。いろいろと捏造部分が多く尻切れトンボです。

    #リンレト
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    戦災で割と考え込むし疲れているのに、それを全く自覚していない先生と、なんとなくわかっていたので介抱するリンハルトの話
    (先生のそれが精神的なものである、というのは、できる限り読者にバレないように書くこと)

    先生の疲労の原因
    ⇒セテスを殺した感触(家族、と言うほどの仲の物を自ら屠ったこと)
    ⇒レアの正体と自分の出自を知り、「人の世に、と言うのなら、本当は俺自身も滅ぶべきだった」と考えたこと
    ⇒使命を失ったこと

    「酷使しすぎたせいだろうね」
     元黒鷲学級の生徒の会議で、リンハルトはそう言った。
    「天帝の剣の力にしろ、あの指揮能力や紋章にしろ、先生の持っていたものは普通じゃなかった。その代償だとか、ツケが回ってくるなら、心臓を取り戻した今が適切だ」
    「リンハルト。貴方が考えていることを、全て明らかにして」
    「それは嫌だなあ。言ったでしょ、まだ先生についてはわからないことの方が多いんだ。仮説に仮説を重ねてみたところで、明確な方法が見つかるわけじゃない。これはね、時間との勝負なんだ」
     彼はつまびらかにすることを拒みつつも、既に持論を展開し始めていることに、あまり気が付いていないようだった。
    「それも今までみたいに、短期決戦じゃない。むしろ逆なんだ。長い経過観察と、根気が必要になると思う。多分一番もどかしくなるのは本人だからね」
     彼の持ちえた能力について、学級の生徒、あるいはエーデルガルトでさえ、はっきりとは理解していない。恐らくは、知らぬうちに紋章石を身に宿していたベレト自身にも、扱い切れていないかもしれない。
    「だから、研究所の話は反故にするよ」
     リンハルトは実にあっさりと言った。エーデルガルトは「それと今なんの関係が、」と言いかけたが、先に気が付いたヒューベルトが口を挟んだ。
    「では、貴殿がその『長い時間』を使うと言うのですかな。彼のために」
    「え、そうだけど。他に方法があるの?あったとしても嫌だけど……」
     今度はエーデルガルトが閉口した。リンハルトはますます不思議そうに二人を見た。即決即断の彼とはいえ、今回はあまりにも早い。話を切り出すより前から、こうするつもりだったのだろう。たとえ誰がなんと言おうと。
    「じゃあ、僕はもう荷造りをするから。先生はとりあえず、安全な場所で隠遁してもらおう。目に見えてなにかあると、動きたくて仕方がなくなる人だからね」
    「……私欲が混じってないかしら?」
    「勿論。『長い時間』と、僕らの先生の命がかかってるんだ。それくらい要求するのは道理でしょ」
     つらつらと隠遁する候補地を上げる口ぶりには迷いがなく、前々から考えていたことは明白だった。あきれ返って、エーデルガルトはため息をついた。しかしながら、今他に頼れるものもはいない。それに、先生は何を犠牲にしても失いたくない人物であるのには間違いがない。そう考えればあまりに安すぎる条件であるとさえ言えた。
    「少し納得いかない節もあるけれど。確かに、貴方が最も適任でしょうね。他に護衛もつけるけど、それは構わないわね?」
    「それは先生次第かなあ。あと、護衛って言っても、あんまりガチガチに包囲されるのは困るかな。それじゃあ療養じゃなくて監禁だ」
    「なら、定期的な巡回と見回りの行き届いている範囲内でないとまずいわね」

    「いいのですかな」
    「いいも何も」「反論できる余地があったのに見逃したというのなら、それなりの処分を受けてもらうわよ、ヒューベルト」
    「無論、口頭ではありませんでしたとも」「駄目よ。前にも言ったけど、彼ほどの人材を、私たちはまだ失うわけにはいかないの。先生の安否についても、彼異常に知識を持つものはいないのだから」
    「フフ」
    「身内に甘い癖は、いつになっても治りませんな」
    「言ってなさい」


     リンハルトの要望はおおむね受け入れられた。後は、今は何も知らず眠る、本人の反応がどうなるかというばかりだった。

    「それは嫌だ」
    案の定、実に率直に、なんともはっきりと断ってのけられた時、エーデルガルトとヒューベルトは視線を交わした。やはり、という意である。
    「何でです? あ、今のうちならだいたいの要望が通るはずなので、問題は言っておけばいいと思いますよ」
    「リンハルト殿。軽率な発言は後に貴殿の首を絞めますよ」
    「違う。そもそもその提案に乗る気はない」
     現場は混沌としていた。エーデルガルトは一人頭を抱えた。こういうときに仲裁に入るのはだいたい師のほうであり、彼もまた譲れないものを持つ今、打開の策はないに等しい。一括して黙らせるにはまだ早いともわかっていた。
    「療養なら、俺一人で構わない。時々、リンハルトの元にも、君たちのもとにも顔を出そう。それで済む話のはずだ」
    「いや、済まないですよね。それで倒れたら、誰が貴方を救うんです?」
    「どうして君が……」
    そこで言葉を切った。それでも、彼は譲りたくないのだ。わざわざ愛しい生徒と口論をしてまで。
    「君が自分の人生を、俺の為に捨てなければならない?」
    「捨てませんよ」
    「結果としてそうなることはある」
    「君は一度決めたら譲らない。何もわからなかったとして、途中で投げ出したりはしないだろう。それが嫌だ」
    リンハルトはふっと微笑んだ。何かをあきらめたような、少しくすぐったいような表情はこの場に不釣り合いだった。
    「先生。もうわかってるじゃないですか」
    「何を?」

    「一度決めたら譲らないので、もう、とっくの昔に決めているんですよ」
    「…………俺の意志さえ、関係なく?」
    「まあ、許可が得られた方がいいとは思ってましたけど」
    「貴方を永久に失うことよりは、許されないほうがまだいいので」
     語調が僅かに強まっていることに、エーデルガルトは気づき始めていた。やや感情的な側面を強く見せるのは、リンハルトにしては珍しいことだった。無感動というわけではけしてないが、いつもどこか客観的で、冷めた視線を捨てない人物のはずだ。
    「先生。今回みたいなことは、初めてじゃないですよね?何度目ですか?」
    「初めてだ」
    「部屋の日記を見ました」
    「……成程」
     そこで彼は大きく脱力した。言い逃れはできないとわかったらしい。日記を見られたことそのものには激昂しないあたりが彼らしかった。
    「マヌエラ先生も、ハンネマン先生もわからなかったんですよね」
    「……ああ」

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