空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:03 入学式から数週間、空閑は目の前にある背中を飽きもせず眺めていた。あからさまに入学時の成績順と分かる席順で、空閑は最後列窓際という特等席を手にしていた。その前に座るのは、次席入学だという汐見である。
――相変わらず、姿勢がいいなぁ。
しゃんと伸ばされた背筋は、他を寄せ付けないような近付き難い空気をも纏っていたが空閑にはそれすらも関係ない。
入学式前、新入生の入寮が開始した途端に寮生活を始めた空閑と汐見は他のクラスメイト達よりも少しだけ寮内の先輩達や別クラスに居る同期数人との交流を持っていた上――無事汐見が所属する剣道部に入部を果たした空閑は、大体の時間を汐見と共に行動していたからか彼の態度が単なる人付き合いの下手さから来るものである事を知ったのだ。
1157