ドタデレラ⑦「はぁ…………」
ぶとうかいがおわってからというもの、フローラおうじはぼーっとしてためいきをよくつくようになりました。
フローラおうじのつくえのそばにはガラスでできたかわいらしいどたまがおいてあります。そう、ドタデレラのどたまです。
「ちょっと、フローラさま〜……ちゃんとしごとしてくださいよー……」
ポップがあたらしいしょるいをもって、ばさっとつくえのうえにおきます。
「はい。これ、ふろーらさまがしょりするしょるいですよ」
「あ、ああ……わかっている」
そういってぺんをもちますが、しばらくしてまたためいきをつきます。
ポップもおなじようにはぁぁ……とためいきをつきました。
「フローラさま、あのぶとうかいのひからへんですよ?ポンコツというかなんというか………」
「ポップ……おまえはわたしのけらいのはずだが……」
そういうフローラおうじに、ポップはあははとわらいました。
「まあまあ、こまかいことはきにしないでくださいよ。あ!!もしかして、ふろーらさまがおかしいの、あのおじょうさんのせいですか?」
そんなポップのことばにフローラおうじのかおがまっかになりました。
「ずぼしですねぇ。みごとにおかおがまっかっか〜♪」
にひひとわらいながらポップがいいます。そのことばにフローラおうじはまたためいきをつきました。
「はぁ……あの、うつくしいどたまのひとにあいたい……そうじゃないと、なにもてにつかない!」
フローラおうじはどうやらぶとうかいでどたまうちをしたむすめに、ガチこいをしたようです。
ポップはあたまをがしがしとかいて、こうていあんしました。
「じゃあ、さがしますか?」
「なに?」
「まず、おふれをだしましょう。そしてとびきりうでのいいがかにそのおじょうさんのにがおえをかいてもらうんです。それをくばります」
「それはいいかんがえだ!よし!まずはおふれをだそう!!」
「あと、そのおじょうさんがつけていたどたまをかぶせればすくにみつかるはずですよ。このおおきさからすると、ずいぶんこがおのおじょうさんですからね」
「たしかにそうだった!では、これをもって、かぶせればいいのだな!ありがとう!さすがポップだ!」
「へへ、そんなことないですよ〜」
(いやあ……しごとしてもらわないと、こまるんすよね……おれ)
ポップはてれながら、ないしんそんなことをかんがえていました。
そして、このくにに、おうじからのおふれがでまわりました。
「このガラスのどたまのもちぬしをわがきさきとする」
ドタデレラのにがおえと、ガラスのどたまがいっしょにかいてあります。
フローラおうじのおふれに、われがわれがとなのりをあげるむすめがあらわれました。
しかし、ガラスのどたまはちいさくてだれのあたまもはいりません。
ドタデレラのふたりのあねもとうぜん、なのりでました。
あるひ、しろのつかいとポップがおやしきにきました。
「おお、しろのつかいがわがやしきに……!」
ザボみがうれしそうにいいます。
「おまえたちのどちらかが、あのどたまがはいればいいのじゃ。そうしたらわしらはおうけのにんげんじゃ!」
キーヒッヒッ……っとまじょのようなたかわらいをします。そして、ドタデレラにいいました。
「ドタデレラよ。おまえはへやでおとなしくしておるのじゃ」
「でも……」
「くちごたえをするな!どうせぶとうかいにいけなかったおまえがかぶってもいみがないからのう」
「はい……」
ドタデレラはおとなしくザボみのことばにしたがいました。
「このやしきのむすめはふたりですか?」
ポップがたずます。
「はい、そうですじゃ。このふたりです」
ザボみがそういって、フレイザーことミスこをしょうかいしますが、どうみてもにがおえとにてもにつきません。
ですが、もののためしにとガラスのどたまをかぶせようとしましたが、うえのあねはベールをぬぎたがりません。そのうえからかぶせましたがとうぜんはいりませんでした。
したのあねは、からだのはんぶんがこおりではんぶんがほのおなので、ガラスのどたまはかぶせられません。われてしまいます。
「お、おい!ちょっとまてよ!!ちからをしゅつりょくさいしょうげんにするから!いちどでいいからかぶせてくれよ!」
と、けんめいにたのみましたが、やっぱり
かぶせてもらえませんでした。フレイザーこはとてもくやしがりました。
「ほかに、むすめさんはいませんか?」
「ええ、おりませんよ」
「そうですか。では、おれたちはしつれいします」
またいなかった……と、ポップとけらいたちはかえろうとします。そのとき、やねうらからなにやらものおとがしました。
「あ……あの……まってください!わたしも……わたしにもそのどたまをかぶらせてください!」
かいだんからドタデレラがおりてきました。
「なんじゃおまえは!でてくるなといったじゃろうが!」
「あのおじょうさんは?」
ポップがたずねると、ザボみはこうこたえます。
「いやいや、すみませんのう。このむすめはうちのめしつかいでして……ぶとうかいにもいってないので、かんけいないかと」
ザボみはそういいましたが、ポップはこのみすぼらしいかっこうをしたむすめがどうしてもきになって、こえをかけました。
「あなたもどうぞ。こちらへ」
「はい」
ドタデレラがポップのまえにくると、どたまをかぶせてみます。するとどうでしょう。すっぽりとかぶれました。
ままははとふたりのあねはとてもびっくりしたあとに、くやしがっていました。
「やはりあなたでしたか。フローラおうじがしろでおまちです。いますぐおれといっしょにおしろにいきましょう!」
ポップがそういってドタデレラのてをとりそとにでます。
「では、いきますよ」
「あの、ばしゃにはのらないのですか?」
「だいじょうぶですよ。おれはまほうつかいなので」
そういって、ポップはルーラをとなえてドタデレラをおしろまでつれていきました。
「フローラさま!おつれしました」
「でかしたぞ!ポップ!!」
フローラおうじは、まいにちまいにちけらいがドタデレラをつれてくるのを、まっていました。
「あ……あの。どたまのおうじさま……このようなかっこうでもうしわけありません」
そういって、ガラスのどたまをかぶったドタデレラがスカートをもちあげてあいさつをします。ぶとうかいのときとはちがってボロボロのふくをきていますが、まちがいなくそのときにあった、かれんなむすめでした。
「ああ……ああ、あなただ!うつくしいどたまのひと!」
「どたまのおうじさま……!」
「わたしと、けっこんしてください」
「はい……」
ふたりはだきあいました。
ァカーンァカーン!
おしろにどたまうちのかねがなりひびきます。
きょうはふたりのけっこんしきです。ふたりともとてもきれいないしょうをきて、おうかんのついたどたまをかぶっています。
ちかいのくちづけのときは、どたまがぶつかってとてもたいへんそうでしたが、ふたりはとてもとてもしあわせそうでした。
それから、おうじさまとドタデレラはおしろでしあわせにしあわせにくらしました。
めでたしめでたし。