ここ何日か留守にしていた住処に戻ると、デュフォーが床に転がっていた。眠気に負けて寝落ちたにしても、玄関を入ってすぐの廊下に倒れているのは不自然だ。
「何をしてる?」
床に転がって遊ぶ趣味でもあるのか? と呑気に考えながら近づいて覗き込んでみると、デュフォーの顔は真っ青だった。
「ゼ、オン、か?」
やっとの事で絞り出した、といった感じの声はカスカスに涸れている。
「おまえ、具合が悪いのか?」
声を出すのも辛いようで、僅かに首を縦に動かした。
「こんなところで寝るな。余計に体調が悪くなるだろう」
文句を言いながらマントを広げてベッドへと運ぶ。仰向けに転がすと、蒼白な顔と汗で額に張り付いた前髪が露わになった。指先で淡い色の髪をはらってやりながら、さてどうしたものかと考える。
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