高校の入学式の日に九年ぶりに再会した"りょうたくん"は小学一年生の頃から背も大分伸びて大人っぽい雰囲気になっていた。九年の間にすっかり変わってしまった彼をあの頃のように「りょうたくん」と呼べず「風真くん」と呼んでしまった。
「あーそうです、か・ざ・まです」
と言う風真くんもわたしを苗字で呼んだ。幼稚園や小学校の頃は友達はみんな名前で呼んでいたけど、中学や高校になると、特に異性は苗字で呼ぶことが多くなっていて、わたし達もそれに倣うように小さい頃とは違い苗字で呼び合うようになってしまった。
「明日の帰り、シモン行こうよ。風真くんシフトなんだって」
「行く行くー」
それに、雑貨屋シモンのカリスマ店員ではばたき市の若様、風真くんはすぐに学校でも人気者になり、何だか遠い人のように感じてしまった。家も近所で同じクラスにいるのに。やっぱり幼稚園や小学生の頃と高校生の今じゃ違うよね……なんて考えながら教室を出ると、校門前でばったり風真くんに会った。
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