呪詛ミンとウリしてる虎の話「そろそろ終わりにしませんか」
ことが終わったあと、いつもベッドの縁に腰掛け、俺に背を向けて煙草を吸う男が、今日はシーツにくるまったまま、俺の顔を真正面から見据えて言った。
「なにを」
「君の『おしごと』です」
この関係を、と続くことを予想して身構えていた俺は、わかりやすく拍子抜けする。顔にも出ていたのか、男がわずかに目を細めた。普段から表情にとぼしい人だけれど、俺の反応を不思議に感じていることはすぐにわかった。すぐにわかるほどには、頻繁に逢瀬を重ねていたから。
「ウリをやめろってこと?」
男が無言で頷いた。俺は少し考えて、それから思ったまま口を開く。
「やめて、それでどうしろっての?」
男はもぞりと片腕を出し、俺の頬に触れてきた。くすぐったくなるほど優しい手付きが、さっきまでの行為の激しさを嘘に変えるみたいで、少しだけそわそわする。
1990