曇天色のウェディングベール白いツヤツヤしたダイニングテーブルの上に、真っ赤な液体が広がっている。
その鮮やかな赤は床にも染み付き、衝撃的な光景を作り出していた。
「社長、すみません。汚してしまって…」
黒い衣服に身を包んだ青年は、電話口で謝罪した。
テーブルの上に横たわる男は、青年にとっては見知らぬ存在。
頭に開いた深い傷から、血が大量に流れ出ているのが広がり、周囲を汚していた。
「テッド、進展はあるか?」
と、電話の向こうで声がした。
「はい、進んでいます。」
「そこはさっさと他に任せて、戻りなさい」
ふと後ろを見れば、清掃員と思しき男が2人、室内へ入って来る。
青年は静かに電話口へ返答し、部屋を出た。
***
この街は少し、他とは変わっている。
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