ただ一人の女の子の時間施設内の気温調節はきちんと行き届いているのだが、それでも目覚めのこの瞬間は少し肌寒く感じる。
まだ薄暗い室内で覚醒してしまった目蓋を擦り、目の前に浮かぶそれを確認するとリツカは少しだけホッとした。
本来彼女のモノのはずの毛布を奪い取り、くるりと身に巻いた真っ白な背中とそこから生えた翅。寒さに弱いオベロンの背中だ。
文句や悪態を吐きつつも、オベロンはリツカが一緒に寝て欲しいとお願いすれば目覚めの瞬間まで一緒に居てくれる。
本当は凄く優しい人なのは知っていたが…こうして寒そうに毛布を巻いて眠る姿は少しだけ可愛らしさも覚える。
値の張りそうな真っ白なシャツがリツカの眼前いっぱいに広がり、その背中は大きく、綺麗な容姿をしているが…彼が男である。という証明にも見えた。
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