確か最初は、私が子羊くんを有無を言わさず強引に抱きしめた事だった気がする。ハグはストレス発散の効果があるらしいですよ、なんてそれらしい理由をつけて。
その時の子羊くんは、本当に酷い状態だった。何があったかは絶対に口にはしない癖に、その顔は酷く疲れ果てていて。無理矢理口を割らせても良かったのだが、それで話が拗れるのも面倒で。でも放置する訳にもいかず、考えに考えた結果が抱きしめてやる事だった。落ち着くまで、何があったかを彼が話そうと思うまで。
「何か失敗したのなら、次同じ事を繰り返さなければいい。君の頭は、お飾りではないでしょう?考える事も、予防策を練る事も出来る筈。」
「……。」
「君が頑張っている事は、私が知っています。私が、君の努力を認めて差し上げましょう。だから大丈夫ですよ、今まで通り励みなさい。…良いですね?子羊くん。」
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