良い夫婦の日 蜂蜜色をした瞳が愛おしそうに笑う。
細い指先が男の手を取って、ぎゅっと握り締める。
それをぼんやり眺めていた。
―――私と結婚してください!
オマエは、その男と契るのか。
靄が段々濃くなって二人の姿をかき消していく。
「オマエはもしこの戦いが終わって生存したとして、誰かと婚姻を結ぶのか」
目の前の男からとんでもない発言が飛び出して立香は寸前に頬張っていたツナサンドを危うく喉に詰まらせる所だった。
げほげほと咳き込む立香に、原因である男は「戦士たるものこんなくだらない理由で死ぬな」などと如何にも呆れた顔で宣い、水を渡してくる。
有り難く受け取りつつ誰の所為だととじとりとした目で見やるも、何だかよく分からないが不機嫌そうな様相の男にこれ以上の刺激は与えてはならないと黙って喉に流し込む。
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