階段を一段ずつ登る度、僕とKKの繋がりが薄くなるのを嫌でも感じる。
「もう取り憑かれんなよ」
優しい声色と共に、ああもうお別れなんだと心のどこかで思う。
勝手に取り憑いておいて、勝手にいなくなるなんて勝手だ。せっかく僕達は相棒に慣れたのに。二心同体となってしまった今、KKがいなくなったら僕はこの先、生きていけるのだろうか。先程家族にみっともなくても生きていく、と誓ったばかりだが現世に戻ったらもう僕は独りぼっちだ。
弱音を吐きそうになるのを堪え、僕の大切な相棒を労るように僕はこの言葉を送る。
「ありがとう おやすみ、KK」
いつか僕が黄泉の国へ行った時、おはようと言ってくれることを願って。
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