バンは恋人の姿を改めてまじまじと眺めた。
金の髪は腰までの長さになり、顔つきも少しばかり大人っぽくなった気がする。何より目を引くのは背に輝く二枚の羽根だ。文字通り輝きを放っており、金色とも藍色とも言えないオパールの煌めき。まさに妖精姫の羽根としか形容できない美しさだ。
だが、彼の最も気になることは他にあった。
「おお〜! エレインおっぱいふわふわだ〜♫」
「やぁん! もうっ、仕方ないわね……」
一応抗議の声は上げるがエレインは抵抗しない。バンにされるがままになっていた。
「……やはりバンも大きいお胸が好きなの?」
「あン?」
「人間の雄は大きいお胸に惹かれがちと聞いたから……」
これだって女の子にしては小さめよね、とため息をつくエレインに、バンはキョトンと訳がわからない、というような顔をした。
「他の野郎の事も、女の胸の大きさも知らねー♪ エレインはエレインだからいいんだよ♫ 前のぺたんもいいけど、今はふんわりって感じだな〜♫ エレインは全体的にふわふわだからな♫」
心底楽しそうな恋人の様子に、エレインも釣られて微笑む。心を読まなくても本心と確信できた。
が、不意にバンの表情が固くなる。違和感を覚えたエレインがどうしたの、と尋ねようとしたところでバンは口を開いた。
「下はどうなんだ?」
「し、下? ……って何?」
「つるつるからふわふわになったのか?!」
「……し、知らないっ」
恋人が言わんとしている事を理解したエレインは真っ赤になりながらもごもご答える。
「まだ自分でも見てないもの……」
バンは黙ったまま、エレインの瞳を真正面から、至極真剣な眼差しで鋭く射抜く。
見たい。
心を読まなくても、わかる。その視線は口以上に雄弁だった。
「もぉぉ! バンのバカァ!」
叫んで、スカートをたくし上げる。妖精族は下着を穿く習慣がない。
「……おお、ふわふわ♫」
バンは満足げに呟いた。