「キングとバン、仲良しになったの?」
自分の連れ合いと、最近ほんの少しだけ見直した仲間が同じような格好でテーブルに伏しているのを見たディアンヌは、放っておけずについに声をかけた。寝てはいない証拠に、二人共とも時々ブツブツと言葉をかわしているようだ。
「なんでそうなるんだよ♫」
「そんな訳ないじゃない、ディアンヌ!」
ほとんど同時に顔を上て否定する。この子たち、意外と気が合うんだよね、と内心苦笑しつつキングの隣に腰掛けた。
「バンが急いでお家に帰らないなんて珍しいからどうしたのかなって」
「おう、もう今日は帰ろうと思ってた♫」
「それでいいの、バンは。まだ何も決まっていないのに」
「時間の無駄だぜ、分かってねぇモン同士で話ししたってラチがあかねぇだろ♫」
「ねぇねぇどうしたの、何の話?」
興味津々といった様子でバンとキングの会話に首を突っ込んできたディアンヌに、バンは些かうんざりした顔をし、そんな義弟を引き止めつつキングは経緯を語って聞かせた。そして聞けば聞くほどディアンヌの眉根は寄って呆れ顔になっていく。遂に「なんだそんな事かぁ」とため息混じりに呟いた。
「でもエレイン来ないし、何かもっと深刻なのかと思ったからホッとしたよ」
「オイラ達にとっては一大事なんだよ」
「俺はもうプレゼントは見切りつけたぜ、悩む事に時間使う位ぇなら、そのぶんエレインの側に居たい♫」
「バン、またそうやってキミは……」
いつもの口喧嘩になりそうなところに、まぁまぁとディアンヌが割って入る。それからキングの方を向いて「でも今回はボクもバンに賛成かな」と言った。
「大事なのはお祝いしたい、感謝を伝えたいって気持ちをきちんと本人に伝える事だよ。プレゼントやパーティーの内容のアイデアが思いつかないならもうそれでもいいじゃない。離れていたぶん大事にしたいなら、今はできるだけエレインと一緒の時間を過ごす事のほうが大切だよ」
色々なトラブルに邪魔され遠回りを強いられてきたディアンヌの言葉はことのほか重い。バンはやっぱり帰る、と扉に向かい、キングは目からウロコが落ちたような顔をした。
「まぁ、ボクはエリザベスと、とっときのプレゼント準備してるけどね〜!」
―― そして、コケた。