バンさんRE:BORNその2「おい、怪しい奴め。きさまは何者だ!」
暫し呆然としていたバンだったが、その声にハッと我に返って振返った。そこには敵意をむき出しにした妖精たちが集まっているバンの知った顔も何人かいた。
「害意があるものは容赦しない!」
「ここがバン王様の土地と知っているのか?!」
いやだから、俺がそのバン。
そう説明したが、口から出たのはおかしな鳴き声だけだ。
「魔神族か?!」
「見たこともないぞ、こんなやつ」
彼らはすでにいきり立っている。元来は穏やかなたちの妖精族だがその反面、警戒心が強く外敵には容赦がないのだ。
落ち着け、お前ら。……参ったな、仕方ない。誰か怪我する前に一旦引いて……。
バンがじり、と後ずさった時、「危ないですエレイン様」という声が聞こえた。
「いいから私に任せて。貴方達は下がっていなさい」
そこにまさかの愛しのエレインの登場である。これには流石のバンもギクリとする。これは、まずい。エレイン相手に本気を出す訳にはいかないが、適当にいなしてどうにかなるような女でもない。申し訳ないが、やはり逃げるしか……。
「あら」
現れたエレインはバンの姿を見て、キョトンとした。
「まぁ……いったいどうしたの、バン」
「バン……様?!」
「エレイン様、何を仰って……」
妖精たち同様、バンも驚き、歓喜した。流石はエレイン。ひと目で俺と分かってくれた!
すいー、とバンのそばまで来たエレインはふわっと浮いて、今ではキツネのように長い、バンのくちもとにそっと手を添えて、言った。
「一晩で随分背が高くなったのね!」