ハワイのおまけ話1 いちご柄 いちご柄
女子高生らしき二人組が話すのを聞いた。
「そうそう、ギーユーの新作パジャマ、かわいくない? いちご柄!」
「あれ私も欲しい」
普段なら、そんな声を聞いたところで会話の内容すら頭に残らないのに、結婚してからの乾はそういった「かわいい」に敏感になった。
「……駅ビルにあったはず」
そう呟いた彼は、休憩時間に駅前に行ってその店を目指し、いちご柄パジャマの前でしばらくしゃがみこんでいた。
「絶対着てくれない。オレにはわかってる。しのごの言ってそのままにする。そこでオレは考えた」
彼は、目当てのパジャマと、他にもいくつかの衣類を掴んでレジに向かった。
今日の九井は休日のはず。いつもなら、夕飯でもと誘い出すのにそれをやめて、乾は買ったばかりのいちご柄パジャマを手に家路を急ぐ。
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