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    とらまる

    ⑳⏫/🔞の人を選ぶ二次創作をします/あんスタなんでも壁打ちアカウンヨ/千秋➕奏汰推しの流星隊P/五奇人/あんずぴ/ドルあん/男女CP/https://marshmallow-qa.com/uuu___777

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    とらまる

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    星とあんずの幻想曲3 開催おめでとうございます🎉
    遅ればせながら公開いたしました~!
    忍あんです!七不思議スタフェス準拠…の忍あんフィルターマシマシのあったらいいな~という補完のお話です🥰

    #ドルあん
    dollarBill
    #忍あん
    #星とあんずの幻想曲3
    fantasyOfStarsAndAnzu3

    【忍あん】その声は。「困ってるなら、助けて、って言ってほしい。その声が聞こえたら「ぼく」たちはすぐ駆けつけるから――」

    あんずは線引きをして隔てた薄暗い部屋の中で、地下室で聞いたその言葉を思い出していた。
    これまで、幾度となく危険な場面や、1人じゃ手に負えない課題や困難があんずの目の前にたくさん立ちはだかってきた。どの時でも、あんずは周りに助けを求めるよりも自分で何とかしようと動き、結果的に色々な人に助けられて乗り越えてきた。決してあんずひとりの力で全てを解決することは不可能ということはわかっているが、自分から周りに助けを求めることが昔からどうも苦手だった。
    地下室での忍の言葉はひつぎに向けられたものであったが、あんず自身にも深く突き刺さるものであった。
    だからこうしてゲートキーパーの名乗る謎の男に突然監禁された今も、助けてと口にすることは出来なかった。
    アイドルのプロデュース方法のアイデアを考えたり、ゲートキーパーのクレジットカードで買い物をするなり、あんずなりにこの生活を糧にしようと過ごしていた。
    そのため、なずなが彼に呼び出され、この部屋に立ち入ることになった時も、あんずはこの部屋を出ることはなかった。

    クリスマスイブ、予定通りならスタフェスが行われている今も、あんずはこの部屋に閉ざされたままだった。
    しかし、この部屋の主であるゲートキーパーは今日だけ不在であった。わざわざあんずにも分かるように以前からこの日は不在であることを告げ、鍵もかけずに出ていったことから、彼の意図は明白であり、それに躍らされるあんずも本意では無い。でも、彼ととある約束を交わしてしまった。
    そして、この瞬間が彼女に会える最初で最後のチャンスであることは明らかだった。
    この部屋の窓は外が見られないようになっていて、ここがどこかは正確にはわからない。
    ただ、外の音は漏れ聞こえてくるようで、あんずが提案したスタフェスでの指定曲がかすかに聴こえてくる。街全体に特設ステージを21個もつくったからか、どうやら近くにも会場があるらしい。
    ――約束なんて嘘だったら?外にあいつの仲間がいたら?迷って出られなかったら?もし間に合わなかったら?
    色々な不安があんずの頭を過ぎる。
    ――でも、チャンスは今しかない。
    あんずは決心し、ゲートキーパーのクレジットカードで買ったコートを引っ掛け部屋を飛び出した。

    どれだけ走ったかわからない。
    なぜか今日だけはこの広い家の中は人ひとりおらず、なんとか脱出することができた。ただ、外に人がいるかもしれない、何かあるかもしれないという不安から、あんずはあの家から距離を取れるだけ走り続けた。

    久しぶりの外はかなり冷え込んでおり、雪がちらついている。ここしばらく部屋に籠りきりであったあんずには堪える寒さだった。冷たい風が頬を突き刺し、手がかじかむ。あんずはそれでも足を動かし、走り続けた。
    目の前に見慣れたビル群が飛び込んでくる。どうやらESビルの近くまでたどり着いたようで、あんずは息を切らしながらビルを見上げた。
    今になって、周りの通行人の目があんずに向いていることに気がつく。……寒空の下、息を切らしながら走る女子高生は確かに目立つ。今人目についてはいけないあんずは、慌ててコートのフードを目深に被り、人通りのすくない道へと急いだ。
    ここからスタフェスのメインステージである夢ノ咲学院へは更に人が多くなる。
    ただでさえ軟禁状態から急に走り続けたあんずの身体はもうぼろぼろで、ここから人目につかずに学院まで辿り着くのは至難の業である。もう満身創痍のあんずはふらふらとしゃがみこんだ。
    ――もう無理かもしれない。
    思わず諦めの言葉を口にしようとしたあんずに、一筋の奇跡が射し込んだ。
    視界に紫色のまるい後頭部、ちらりと黄色いメッシュが見えるその後ろ姿が目に映る。
    どうやら今日は21つものステージがあるため、アイドルが街中を駆け巡っているようだった。
    その姿があんずの視界から離れる前に、あんずはありったけの声を出した。
    「――仙石くんっ」
    忍がその声で振り返り、あんずに気づいたようで走って駆けつけてくる。
    あんずか今まで言わなかった、言えなかった言葉。それでも、今言わないといけない。
    あんずの揺れる瞳と、片方は隠れていてもわかる忍の真っ直ぐな双眸がぶつかる。
    「――っ、助けて…!」
    小さな、かすかな声だった。あんずは自分から、心から救いを求めたのはこれが初めてだった。
    忍は一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに頼もしいヒーローの顔つきへと変わる。
    「勿論でござるよ!」
    きらきらとした笑顔が冬の空に輝いて見える。
    小さい背中が、いまはとても大きく感じた。
    あんずにとって、忍はこの日いちばんのヒーローだった。
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