addicted/キラ門 さっきまで布団の上で絡み合っていたのがまるでテレビの中の出来事だったみたいに一人で煙草を吸っている。春の終わりの夜は肌寒い。これからほんのひとときの夏が来て、あっという間に涼しくなる。暑い内にどこかに出掛けたい。門倉を助手席に乗せてどこか、釣りが好きだと言っていたから川や海でも、とにかく一日を一緒に過ごしてみたい。門倉には盆休みがあるはずだ。首だけで振り返り、門倉の部屋のドアを見る。今日もまた抱き合ってしまった。先週はしなかったけれど、先々週はした。おそらく来週もする。身体の中にまだ熱が残っている。いい年をした男が二人、まるで覚えたての学生みたいにがっついて、みっともなくて気持ちいい事をしている。跨って見下ろし、転がって見上げて、肌を舐めて、歯を立てて。汗を吸った布団でそのまま眠るのだって嫌じゃない。思い出しているとまた昂ってしまいそうで、煙を深く吸い込んでは吐き出す。
1977