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    hana_tulip

    デジタル勉強中のアナログ絵描き兼文字書き。

    🌟の二次創作メイン。

    卿ぽよ,dmsd,mtkbメインのバルポポ,ddwd,ddポポも少し。

    最近は一人称メインのお話が多いです。




    @tulip_mama_

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    hana_tulip

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    卿ぽよ あれからの2人

    陛下ちゃんが、実は努力家でいい男です。
    イメージが違う!と思う人は見ない方がよいです。

    あと、オリキャラが一瞬出ます。

    ##卿ぽよ

    たからもの数ヶ月前の春の暖かな陽気の日、カービィはメタナイト卿と一緒にデデデ城で新しい生活をはじめました。
    そして一月前には小さいけれども素敵な結婚式も挙げることができ、毎日幸せでした。
    …ところが…


    「う~ん……。」
    「大丈夫か、カービィ。」
    「ごめんね…今日もおきるのむずかしいかも…。」

    ここ数日、カービィの調子がよくありません。
    普段元気が取り柄の彼女がこれだけ調子が悪いのは珍しく、ずっと部屋から出れず橫になっているのです。

    「今日こそ医者にかかったほうが…。」
    メタナイト卿が心配して声をかけましたが、カービィは首を橫に振って
    「……ううん、大丈夫。……それにヤブイさんには…今のぼくの調子をみてもらうのはむずかしいと思う。」と呟きました。

    その言葉に対してメタナイトは反論出来ませんでした。何故ならヤブイの腕は、カービィが言う通り確かに信じられません。
    ですが、カービィがこのままの状態もかなり辛い。どうするべきかと途方に暮れたその時、コンコンと扉をノックする音が聞こえました。
    「メタナイト卿、居るでゲスか?」
    エスカルゴン閣下です。多分、最近カービィの姿を見ないので心配になって来たのでしょう。

    「エスカルゴン閣下……はい。カービィと共におります。」

    エスカルゴンは返事を聞いて暫くした後、「失礼するでゲス」と言いキィ…と扉を開けました。

    「…カービィ…。やはり…体調不良でゲスか。」
    「エスカルゴン……。」
    カービィが力ない言葉で呟きます。

    「最近、カービィの食欲がないから陛下もワドルディ達も心配してるでゲス。」
    いつも5、6皿は当たり前のカービィが最近は1皿の半分ほどしか食べていない。厨房ワドルディの中でもおかしいと話はもちきりでした。心配になった1ワドルディが閣下に話をしたのだろうと2人は思いました。

    そして、この状況をわかってはいるのですが何も出来ないメタナイト卿は下を向いて黙るしかありませんでした。

    「あの……。」
    カービィがおそるおそる口を開きます。
    「エスカルゴン閣下……。ひとつきいていい…?」
    いつもと声色が違うとエスカルゴンは感じ、「…何か…あるんでゲスな。」と返しました。


    「……うん。」
    少し不安げな声で呟くカービィ、そのまま話を続けます。
    「……あの…………フームがお腹にいたのがわかった時……メームさんがどんな事してたこと…知りたくて……。閣下なら…その頃からデデデにつかえてたから知ってるかな~って…。」


    「「………!!!!」」
    絶句するふたり。体調が悪いとは思っていましたが、妊娠の可能性は全く考えていませんでした。

    「カービィっ!」
    想わず駆け寄り優しく抱き締めるメタナイト卿。
    「わっ…!」
    カービィは急なことで驚き、目を白黒とさせています。

    「もしかして…子供か…?」
    「…うん……。でもね…まだ…まだわかんないよ……?……だけど…僕……そんな気がするんだ……。」
    慌てて返事をするカービィに対して
    「……いいんだ…!気づいてあげれなくて済まなかった……。」と落ち込んでしまうメタナイト卿、その姿を見てカービィは、ふっ…と沈みこんでしまいました。

    重たい空気を感じ、エスカルゴン閣下が場の空気を変えるため
    「そういえば……確かあの時は隣の町医者がお産を扱っていたからそこまで行っていたような…。」と呟きました。が、その会話の途中でメタナイト卿が
    「今すぐその町医者にかかろう!カービィ、行けるか!?」
    と畳み掛けるように話しながらカービィを抱き抱えようとしています。

    「わわっ!!ちょっ?メタっ!?」
    カービィは大慌て。
    その様子を見て閣下は、「ちょっと待つでゲス、メタナイト卿。もしかしたらカービィは無理したらいけない身体かもしれないでしょう?」と言いました。

    「うっ…!」
    冷静に諭されたうえに正論過ぎてメタナイト卿はぐうの音も出ませんでした。

    「その町医者が空いている時間に往診して貰えるよう陛下にお願いした方が早いでゲス。陛下のお願いなら町医者もNoとは言えないでしょ?」

    「閣下…。」
    慌てていた自分が恥ずかしくなってメタナイト卿はうつむいてしまいます。


    そんな彼の橫で
    「…2人ともありがとうね。……ぼく…安心したらねむたくなってきちゃった……。」
    安心したのかカービィは瞼を擦りはじめました。

    「ああ、ゆっくり休んでくれ。これから私は閣下と共に陛下に話をしてくる。」
    優しく布団をかける卿。
    「…ん…ありがと…。」


    瞼を閉じて眠りにつくカービィ。

    その姿を見て、2人は陛下の居るであろう公務室に足を向けて歩きだしました。



    「……閣下、色々とすまないがお願いしたい。」
    長い廊下を暫く歩いた所でメタナイト卿はそっと口を開け、閣下に頭を下げました。

    「…は?何頭を下げているんでゲスか。」
    「は?」
    閣下の返答に思わず素が出てしまっています。

    そしてその姿を見てため息をつきながら閣下は話を続けます。
    「新しい命が芽生えたかもしれない状況に、何故頭を下げる必要があるのでゲスか?」

    「閣下……。」
    思った返事と違い、呆気にとられている卿。

    「以前、陛下も私も楽しみにしているって言ったでしょう?寧ろこれからが更に忙しくなるでゲスよ。父親としての自覚も含めてこれから色々と覚悟しておいた方がいいでゲスよ。」

    その言葉を聞き、卿の中の不安の糸が少しほどけたような気がしました。
    「……ああ、了解した。ありがとう閣下。」



    その頃、公務室で黙々と書類に目を通す陛下

    ノックする音
    「誰ぞい。」
    「エスカルゴンとメタナイト卿が参りましたでゲス。お忙しい所だと思いますがお手隙の時間はありますでしょうか。」

    「…入って良い。」

    「「はっ。」」

    重厚な扉を開ける音
    その向こう側で書類から目を離す陛下。

    「2人揃ってどうしたぞい。」
    「実は……。」
    「カービィの事についてなのゲスが……。」



    「何ーーーっ!?カービィが妊娠!?」

    「なっ!ちょっと!!まだ可能性があるってだけでまだちゃんと確認はできてないでゲスよ!!」大声に慌てるエスカルゴン閣下と、「……そうか…そうか…なら今の仕事はまだ後回しにできるからなぁ…」急に冷静になりブツブツと独り言を言う陛下。

    「エスカルゴン、メタナイト、確かメーム夫人のお産を扱った医者がおった筈だぞい。ワシが話をつけてやるから2人は夫人に話を聞いてこい。」

    「「了解しました。」」
    陛下の有難い言葉に深々とお辞儀をする2人。

    「…メタナイト。」
    向かおうとした瞬間、陛下に声をかけられメタナイト卿は振り返る。
    「はい。」

    「…カービィは大丈夫かぞい?」

    「…はい、今は寝ておりますが今のところ食欲がないのと眠そうなのとしんどそうなのと…。」
    「…あのな…そういう意味ではない。…まぁ、こっちの聞き方が悪かったか。」
    「え?」
    閣下に引き続き陛下にまで予想外の事を言われ呆気にとられてしまいます。

    「この頃の女性はナイーブでナーバスになると聞いておる。できるだけ傍にいて話を聞いてやれ。最近公務続きでちゃんと話を聞いてあげることが出来なかったであろう?」
    まさかの陛下からこのような言葉が出るとは思わなかった卿は良い返事が出せず
    「……はい。ありがとうございます陛下…。」といい頭を下げるしかなかった。

    「…陛下、昔あった大臣夫妻の会話をよく覚えていたでゲスねぇ。」
    「お前。ワシを馬鹿にしとるのか?」
    「い、いえ。」
    「あれだけ騒がれたら嫌でも覚えておるわ。」
    嫌々顔をしながら懐かしむ陛下に、
    「確かに。『もうっ!あの時の貴方はほんと酷かったんだから!私がどれだけ大変だったかわかってなかったじゃないの!!』…でしたからねぇ。普段の夫人から考えられないでゲスよ。」メーム夫人の声真似をする閣下。

    声真似もそうだがあまりの内容に絶句する卿。

    「…という訳だから、傍に居てやれ。カービィに嫌がられたらワシ達や城の奴らの所に行けば何とか解決まで持っていけるだろう。」

    「…はい。」
    自分達で解決できないのがもどかしいのか、 メタナイト卿は小声で返事をする。

    「メタナイト卿は完璧すぎますからねぇ。
    2人で解決するのも大事でゲスが、たまには私達を頼ってもいいでゲスよ?」
    「ワシらがそんなに信用ならんかぞい?」
    「そっ!それは……。」
    2人に核心をつかれ、声に詰まる卿、
    「……過去の事があるからはっきりYesとは言えんのか。……やはり貴様は真面目だぞい。」

    「………。」
    あまりにも自分の内側の感情を読まれているからなのか、卿は何も発することが出来ず無言で下を向き床を見つめる。
    「ワシらはお前が過去に色々あったことを含めて今は信頼しておる。…貴様はどうか?まだあの時の事は許せんのか…?」


    「…そうでは…ないです……が…。」
    「が?」
    メタナイト卿が顔を上げた瞬間、陛下が相手を見透かすような目で卿を見つめてきた。

    「まだ…私自身が…私自身が自分のやったことに納得できていない部分がありまして…。」
    しどろもどろになりながらも一生懸命に伝える卿に対し、
    「そんなのワシも同じぞい。」
    と陛下は優しく答える。

    「…え?」
    驚くメタナイト卿。

    「…あいつらのいいようにされてお金を湯水の様に使っていたワシが浅ましいわ……。まぁ今は善良な通販会社になっておるからまだまだ付き合いはあるが…。」


    「陛下…。(金銭感覚については…自覚は…あったのでゲスな…。)」

    「だから今、過去の自分と向き合ってこうして埋め合わせをしておる。…計算もあれから出来るようになったんだぞい?ワシが変われたのだから貴様も、変わることが出来ると信じておる。」
    その眼は、今までの相手を蔑んだような形ではなく、1人の部下、いや同じ悩みを持った同志を応援するような、優しい眼をしていた。

    「……陛下…。ご立派になられて…。」
    「エスカルゴン?何だ?」
    「わわっ!!すみません陛下!」
    「……まぁ良い。…それよりメタナイト、出来るな?変わるのは父親になる時……今しかないぞい。」
    「……はい。」
    「…よし、ならさっさと行ってこい!」
    バシッと卿の背中を叩く陛下。
    急いで駆け出していく卿と閣下の背を見ながら
    「ワシ達は次の世代を産むことが出来ない故…頼むぞい。」

    そう呟いたあとバタンと扉が閉まりました。

    --------------------

    ……ママ。

    誰もいないふわふわした意識の中でカービィは何かの気配がして振り向いた。そこにいたのは自分達に似た小さな姿。その子は、にこにこと笑っていた。
    藤のような色をした可愛い……。


    「……君は…っ…!!」

    ガバッと起きるカービィ。
    目眩と吐き気が同時にやって来る。

    「くるしいよ…メタ……メタぁっ…。」

    呟くのと同時に洗面所の扉の開く音が聞こえ。
    「…大丈夫か?カービィ。今器を持ってきたぞ。水も用意する。」

    「…ううん、水は…大丈夫。…それよりも…傍にいて?」

    「…わかった。」
    暫く優しく背中をさするメタナイト卿。

    「……ごめんね。」
    「…何を言っている。謝りたいのは私の方だ。君が辛いのに私は何もしてあげられない……。」
    ぎゅっとカービィの手を握る。
    「…メタ…メタぁ……僕…こんなに弱かったの…?」
    「何を言っている。君は充分に強い。」
    「違うよ…ぼくは…まだ……。」
    あの時から良い子でいるのが当たり前で、弱さをしっかり出せない子供だから…と言おうと思い口を開けた瞬間、
    「…でも君が自分は弱いな…と思うのだったら。」
    「……メタ?」
    「その時は私を頼るが良い。…夫婦だろう?」
    「………う…うわあああぁぁぁん!!メタあぁっ!ぼく…本当は…本当はぁっ…!!」

    カービィは、泣いた。涙が枯れるまで泣いた。
    外からやってきたお医者さんがビックリするくらいに。





    その後、医者からの嬉しい言葉に周りにいたもの達が全員で喜んだ。

    わにゃ!わにゃぁ!という声から「マジかよ!カービィお母さんになるのかよ!」から
    「今日はお祝いぞい!!」から色々と…。

    盛り上がっているメンバーから離れた所で2人はゆっくり腰掛け話し合う。
    「ぼく…早くあの子に会いたいな。」
    「…あの子?」
    「夢の中で見たんだ、ぼく。ぼくの色とメタの色が混ざってひとつになったような綺麗な藤色の子に。」
    「…そうか。私も早く会いたいな。」

    「…うん。待ってるよ…ぼく達の赤ちゃん……。」
    カービィはそっと自分のお腹を撫でた。
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