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    hana_tulip

    デジタル勉強中のアナログ絵描き兼文字書き。

    🌟の二次創作メイン。

    卿ぽよ,dmsd,mtkbメインのバルポポ,ddwd,ddポポも少し。

    最近は一人称メインのお話が多いです。




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    hana_tulip

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    卿さんとぽよちゃん。
    お付き合い前のクリスマス。

    ##卿ぽよ

     普段から賑わっている村中が更に賑わいをみせるようになり「もう年の瀬か。」と思いながら周りを見渡す。
     だがどうやら普段の賑わいとは違う盛り上がりで、私は少し違和感を覚えたのだ。
     部下に聞くと "年の瀬の前にプレゼントを渡しあうパーティ" というものがあるらしく、村中はその準備で大忙しだという。全く…流行りものに乗るなど…すぐ飽きるものに熱意を向けるなど何のため…と思ったが、「プレゼントは誰も彼もではなく、自分の大事な人にあげるものだ。」と聞いてからは自分のプレゼントで喜ぶあの子の顔が目に浮かび、まぁ…時々は流行りに乗るのも良いのかもな…と思った。

     部下は互いに贈りあうと話をしており、あの子に贈るのも勿論だが部下の2人と昔の仲間の子供達の分も用意しておくべきか…とちらっと考えた。

     「あのだな…その大事な人は…友人の子供やら…部下とかも…含まれているんだよな。」と聞いてみると「勿論です!どなたでも、卿が渡したいと思う方に渡すのが良いですよ!!」とか、「卿が私達にプレゼントを!!」とか言いながらかなり興奮したかたちで返事をしてくれた。

     大事な人…という言葉は便利なものだな…と思いながら2人に礼を言い、プレゼントを見に行くという名目で自室に戻り、案を練ることにした。

     「ソードとブレイドには実用品…いや、普段から生活に困っていると言っていたから私のなけなしのお金を包んだ方が良いだろうか…?それから……あの子達には新しい鉢巻きやバンダナだと喜ぶだろうか…。」
     呟きながら紙にあげたいものリストを書き写していた途中に、ふとあの子の姿が頭に浮かび筆を止める。
     「カービィには…何をあげれば喜ぶだろうか…。」
     普段からちょくちょくと物をあげていたりするが大体が口の中に入れて消えてしまう物だったり、そうでない物でも以前あげた免許証はあの子の口の中に消えてしまった。
     「一番あげたい人の物を選ぶのはこんなに難しいものなのだな…。」
     あの子の喜ぶ顔が見たい……だが何でも喜ぶからこそ選ぶのが難しい。戦場での判断とは状況が違うがどちらも難しい判断だな…と思いながら筆を仕舞い、何か良い物が無いかと思い村の状況を見に行くことにした。

     「どれもこれも私からあの子へのイメージとは違うような気がする……。」
     手には元仲間の子供達のプレゼントと部下に渡す気持ち分に足す用の菓子が2つ。どれもこれもあの子が喜びそうな物はあったのだが、私から渡すものとしては…いまいちだった。
     「はぁっ…一体どうすれば……。」

     悩んでいると、どこからか村の住民の会話が聞こえてくる。
     内容はプレゼントをあげたいのにお金が無い…という話だった。そんな相手にもう一人の住民はオリジナルの物でも相手によっては喜ばれるんじゃないのか?即興の歌とか似顔絵とか…。と返していた。

     オリジナルの物…私からあの子への…。
     その住民の案に対する返事はどうだったのか確認しないまま、私は海岸に向かって歩き始めた。

     「…何もないな…。」
     辺りを見渡してみても一面の砂、砂、砂。
     もう少し岩場の方なら何か有るだろうと思いそこに向かって歩いていけば、きら…っと光るものが私の眼中に入った。もしかして…と思い、砂に足をとられる中でも逸る気持ちを抑えられず、少し急ぎ足でその場所に向かいゆっくりと腰を落とす。
     「ほぉ……奇麗な貝殻だ…。」
     貝の内側が見る角度によって色を変え、七色に光る。少し離れた場所には同じような貝殻が幾つか砂浜に上がっており、同じようにキラキラと光っていた。
     「これで…何か作れるだろうか……。」
     私は幾つか貝殻を集めながら手持ちの袋に入れてゆっくりと帰路につくことにする。プレゼントが決まらず気分は沈んでいたが、適当なものをあの子に渡したくなかったので仕方がないことだ…と割り切った。
     
     

     自室の机の前で貝殻を並べながらうんうんと頭を捻る。…そういえばあの子はいつも大事なものを口の中にしまい込む。…もしその大事なものを仕舞えるようなものがあったのなら……。
     そうか。と思いお菓子の入っていた無地の木箱と接着剤を探し出して、そのまま作業に入ることとした。

     
     パーティの日当日は村が凄く盛り上がっており、いつも以上に賑やかだった。夕方からは陛下の素敵な素敵なパーティがあるということでそれまでに盛り上がっておこうという考えもあったようだ。
     部下の2人にも昔の部下の子ども達にも上手に連絡がつき、プレゼントを渡すことが出来た。部下の2人は涙を流しながら喜び、子供達は少しはにかんだ顔をしながら受け取ってくれた。
     
     後はあの子のみだったが、行動パターンは分かっていて見つけるのは容易かったので普段通りにいつもの広場に向かった。
     やはり広場の中でニコニコしながらプレゼントされたご飯やお菓子を吸い込んで食事をしていたのを見つけ、私は普段通りに声をかける。
     「カービィ。」
     「ぽよ!めややいと!」
     私を見てにこっと微笑んで駆けてくる。そんな姿も可愛いなと思いながら私はマントの中からプレゼントの入った袋を取り出して準備をする。

     「メリー・クリスマスだ。カービィ。」
     そっと袋を渡すとカービィは早速その袋を開けて中身を確認する。
     「わあぁぁぁ…!!」
     プレゼントに使った貝殻と同じような目の輝きで袋から取り出すと、カービィはその箱を大事そうに抱えた。
     「手作りで申し訳ないが……それに色んな大事なものを入れて欲しい。」そう私が語りかけるとカービィは目を大きくさせ「うぃっ!」と答えながらじっとプレゼントの箱を見つめてくれている。あちこちから覗き込む姿や動く度に色々な表情がみえるのがとても可愛らしく、何よりもプレゼントを喜んでくれた事にほっとして胸をなでおろす。暫く箱をまじまじと見つめていたカービィが急に何かを思い出したようで、慌てた口調で私に語りかけてくれた。

     「ぽよ!ぽよぃっ!!」
     「私へのプレゼントを考えていなかった…どうしよう…だと…?…ふふっ。大丈夫だ、カービィが喜んでくれた事が一番のプレゼントだからな。」そう私が返事をするとカービィは私の体をぎゅっと掴み、「ぽぅよ!!」と少し怒った返事をした。
     「…わかったわかった。…なら、私の似顔絵でも描いてもらおうかな。私の部屋にでも来るか?それとも君の家のほうが良いか?」
     
     そう私が提案すると、「ぽよ!」と言いながらカービィは私のマントを引っ張って自分のお家に案内してくれた。
     そのまま夜遅くまでカービィの家で沢山の私の似顔絵と更には2人一緒の絵も沢山描いてくれた上に早速プレゼントにあげた箱に仕舞ったり一緒に壁に沢山貼り付けていったりと……沢山のおもてなしと交流をしてくれた。こんなに幸せなクリスマスは今後無いだろう。…本当に最高のクリスマスプレゼントだ。
     「最高のプレゼントをありがとう。カービィ。」
    私がそう語りかけるとカービィは今まで一番の最高の笑顔で笑った。
            Marry Christmas!

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