恋せよ、獣(雷コウ) 終わった後にいつも苦々しい後悔に苛まれる。そういうことをしたかったわけではないのだ。シャワー室から出てきたばかりの雷我はそんな事を思いながら、シーツがくしゃくしゃになった白いベッドの上で背中を丸めている男の背中を無言で眺めた。
タオルでごしごしと一、二度拭かれただけの濡れ髪は、未だ乾きもせずにぽたぽたと小さな音を立てて柔らかいホテルの床に雫を落とす。そんなか細い音すら響く様な静寂。
ベッドの上の男は相も変わらず俯いたまま。おそらくこちらがシャワー室から出てきたことい気が付いているのにも関わらず、申し訳程度に掛けられた薄いシーツを頭から被って手首を摩り続ける。そこには赤くなって熱を持つ拘束の痕。
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