ハルノヨ(雷コウ) 和食雷我の誕生日は酷く騒がしく始まった。携帯電話は午前零時から次々と祝いのメッセージを届けて鳴りやまず、朝目覚めて朝御飯にしては豪華な食卓へ向かえば全員におめでとうと告げられた。朝はあまり得意ではないのに自然と目が覚めたのは、並んでいるものが全て好物で匂いが部屋まで漂ってきていたせいである。
生まれてこの方この味で育ってきたのだ、口に合わないはずもない。朝からこんなに食えるかよと手を付けたはずの料理は瞬く間に腹の中へと消えていく。最後に酔わない程度に僅かに注がれた日本酒を祖父と酌み交わし学校へと向かった。朝にこんなに詰め込まれたのは、学校が終わればそのまま遊びに行って今日は帰らないと伝えたせいだろう。
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