空閑汐♂デイリー【Memories】28 硬い二段ベッドが置かれた寮で出逢ってから十四年、互いを一度手放してから七年、約束の場所でもう一度出逢い――思い返すと身悶えしてしまうようなみっともないプロポーズの言葉を叫んでから、一年。今日も汐見の左手には彼自身が空閑へと贈った指輪と対になるそれが光っている。
互いに休暇を取っていたが、緊急の呼び出しだと苦々しげに呻いた空閑は背中に哀愁を漂わせて部屋を出て――一人残された汐見はぐずぐずとベッドの中で時間をやり過ごしていた。とてもじゃはないけれど動ける状態に無かったので。
互いに休みが重なった前夜は、三十に入った今でも大いに盛り上がる。互いに不規則な勤務体系で働いているおかげで、休みが重なる日が少なく――互いに溜まりに溜まった情欲をぶつけ合っていれば気付けば朝になっていたりもする。
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