02:Cuddling Somewhere(抱きしめる)2021.12.15※つきあってない大春です。距離感バグってる。
「先に風呂に入りたい」
「洗ってあるから湯貯めるだけでいいぞ」
「わかった」
外回りのあと神戸と二人で直帰した先は、当たり前のように俺の自宅アパートだった。
家主になんの断りもなく玄関先で靴を揃え、さっさと風呂場に直行するその後ろ姿に微笑ましささえ感じる。自分たちの関係もずいぶん変わったよなあ、と。
こんなところに住んでいるのかと疑われたときには思わず足を踏みつけてやりたくなったものだが、いまではこのお坊ちゃんも庶民の暮らしにすっかり馴染んでいる。
ただ最近、少し気になることがあった。
勤務後に連れ立ってアパートへ直行するのはもはや定番だったが、以前は食事と飲酒のあと神戸自身は帰宅することのほうが多かった。しかし最近はそろそろ寝ようかという時刻になっても、アパートを出る気配すら漂わせないのである。
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