【グレ場地×反社千冬】君の知らない物語 ③ -I've seen you from many ang 朝起きたら場地の姿がなかった。目が腫れぼったい。もしかして、俺、泣いてた?そんな姿を見せてしまったのかと思って情けなくなった。
リビングのローテーブルのところを見ると、メモがあって、乱雑な字で「鍵持ってく」とだけ書かれていた。
ここのところ、物騒なことばかり起きているので、学生の彼に関わって欲しくはなかったけれど、俺も心のどこかでまた会いたいと思っていた。
すると数日後、家に帰ると鍵が開いていた。中に入ると場地がいた。
「おかえりー千冬。」
ソファーに座ってテレビを見ている。
「おかえり、っていきなり来て何スか。」
俺はため息をつく。
「てか、また怪我してるっスね!」
怪我したらここに来るっていうルーティーンになっているのか?と千冬は思った。後で聞いてみたらまさにそうで、「母ちゃんが泣く」と言う。外泊も十分、「泣く」範囲だと思うのだが、喧嘩したことの方がよっぽども隠したいことらしい。だったら、喧嘩をそもそもするなよ、と大人の俺は言いたくなるが、この年頃だったら喧嘩上等だろう。
1607