周防が帰ってくるなり雑にスーツを脱ぎ捨てて、ヘッドボードに背を預けて寛ぐ僕の胸元に顔を埋めるようにして抱きついてから20分が経とうとしていた。
僕はその間、何とはなしにスマホをいじっていたけど、少し喉が渇いた。がっちりとホールドされてるからサイドテーブルにある飲み物にギリギリ手が届かない。
「周防、ちょっと離れて」
周防はイヤイヤをするように更に回す腕に力を込めた。
「水飲みたいだけだから、その後またハグしていいから、ね?」
そういうとむすっと顔をあげて、サイドテーブルのペットボトルを掴んだ。そのまま手渡してくれるのかと思ったら、水を口移しで飲ませてきた。どうやらとことん甘えたい気分らしい。