高等部3年以外の生徒は何の話だと次第にザワつき始める。…いつか、3年生のみんなには話さんとなってずっと先延ばしにしてきたツケがここで回ってきたのかと自嘲してしまう。
僕が説明しようと口を開けると、一ノ瀬先生がそれを制し首を横に振った。
「さ、一旦うぬらは寮へ戻ると良い。詳しい話はおって伝える。怪我人は寮で治療するように」
下級生達を全員寮へと戻しに行ってくれた、最初は3年生だけで話せという気遣いだろうか。
そして少しの沈黙の後、口を開いたのは稲羽やった。
「何故、私達に隠したのですか」
責めるような口調ではなく、事実を解き明かそうとしているのだろう。…まぁこの子の性格やし、許せない事も多々あるやろなぁ…
「稲羽の言う通りだ、記憶を変えた事などはどうでもいい。…何故、言わなかったんだ」
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