薄暗い感じがするだけ 二人の兄は双子だ。二卵性双生児の為、顔は全く似ていない。声質も体格もまるで違う。双子だと気づく者は殆どいなかった。
四つ離れた兄達は、息が合う。そういうところだけが、兄達の双子らしさと言えた。
それに不満を覚える理由は無い。しかし、理由は無くとも感情はついていかない。幼き頃から抱えている負の思いが間違っていることぐらい分かっていても、蓋することはできなかった。
兄達と血が繋がっていない事実を知らない訳ではない。
ただ、それを他人から悪意をもって改めて突き付けられると、理性と感情は相反する。
「一馬、弁当箱」
「ん」
言葉少なに返事をし、空の弁当箱を学生鞄から取り出して渡した。
大河はそれを受け取り、中身が空であることを確かめる。そして、満足そうに笑った。
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