その日、ドラルクは大いに疲れていた。
いや、その日に限らず、疲れていた。ここ一ヵ月近く多忙を極めていたからだ。
ドラルクは神奈川県警吸血鬼対策課隊長である。生まれながらの貧弱さを持ちつつ、その類まれなる頭脳とダンピールとしての探知能力で隊長にまで上り詰めた。神経質な顔つきをしているが、紳士然とした態度をとり、どんなに困難な内容でもこなしてしまう手腕を持っている。演技掛かった口上が鼻につくが、部下から揶揄われるきっかけになっているようだった。
親しまれる要因使い魔として傍に居るのはアルマジロのジョンだ。イデアと丸と呼ばれる程に美しいボディに愛らしいつぶらな瞳が庇護欲をそそる。性格も素直で優しく万人に愛されている。食いしん坊で病院嫌いである事は玉に瑕だが。
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