君が待つ場所 研究室のドアを開けると、カタカタとキーボードを弾く音が響く。休むことなく指を動かし続ける赤坂に、白金は淹れたてのコーヒーが入ったマグカップを差し出す。
「お疲れさん。異変はあるか?」
「いえ、今日も異常はありません」
白金が声を掛けるとようやく赤坂は手を止め、白金の顔を見て笑顔を浮かべる。
「そうか」
白金は赤坂のものと色違いのマグカップをデスクに置き、隣の回転椅子に腰かける。
最後の戦いが終わってから、二週間が経った。エイリアンたちが去ってからというもの、異変は見られず、地球は平穏を取り戻した。念のために異常がないか確認は続けているが、研究室にいる時間はめっきり減ってしまった。少し前までは、一日の大半を研究室で過ごしていたというのに。
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