ソリチュードを味わいに 朝から曇天は続いた。折り畳み傘は持っていたし、ぱらぱらと小雨が降るたびに何度も使おうとしたものの、本格的には降ってこず、その手の中の物を持て余すばかりだった。
「グッモーニン、ミスターあくの!」
「類はこんな日でも元気だな……」
事務所に着くと、部屋中が煌々と明るい。その理由が新しく取り換えた電球ではなく類の笑顔のせいだってことはすぐさま理解した。賢は買い出し、プロデューサーは誰かの付き添い。ここに来た理由は資料を受け取りに、でしかなかったけれど、S.E.Mがいるなら仕事の話が出来るかもしれない。この先のライブについて、少しでも情報を仕入れておきたい。
「事務所に居るの、俺オンリーだよ」
「えっ、道夫と次郎は?」
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